投資には「王道」があります。それは、
自ら投資判断をし自らの責任で投資をすることです。
こうした“真の投資力”を身につけるためには
便利で簡単な近道はありません。
「長く曲がりくねった道」を着実に進んで行くことが
唯一でかつ最も早い道程になります。
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≪ ポートフォリオ戦略実践講座 ≫
ー 株式相場がファンダメンタルズで説明される範囲になる業績の条件は・・・(試算その2) -
日経平均は先週末の2日間(5月14、15日)で1,800円余り下げ、一方でファンダメンタルズに見合う「基準相場」は上昇基調で推移したことで両者のかい離幅は約2,300円、3.5%縮み、前回講座で試算した、株式相場が正常状態に復帰する増益の条件は一気に現実味を高めました。
今回は前回からの相場とファンダメンタルズの状況変化によって相場の正常化への道筋がどのように変わったかを前回同様の方式によって試算します。
下図は前回講座で見た日経平均と「基準相場」および通常変動の上側・下側と上限・下限の推移のうち、今回のテーマの相場の上げ過ぎ状況の解明に沿って、上側と上限に絞り直近の5月15日まで延長して示したグラフです。
日経平均と「基準相場」および通常変動の上側と上げ過ぎ限界の推移
―2025年1月6日~2026年5月15日―

紺色の線が日経平均、青線が「基準相場」で緑線が相場が正常な変動範囲に収まる上側の境界、赤線がこれ以上の上昇はいつ反落してもおかしくない限界を示します。白枠は直近の5月15日の各指標の値です。
ここで、「基準相場」が堅調に上昇しているのはファンダメンタルズの主要因である業績(予想EPS)と1株当たり純資産(BPS)が上昇基調を維持しているからです。下の図は前回講座で見たこれら指標の推移を示したグラフです。
予想1株当たり利益(予想EPS)と1株当たり純資産(BPS)の推移
―2025年1月6日~2026年5月15日―

紺色の線が予想EPS、赤線がBPSです。両指標は今年の2月から4月にかけて一時調整模様となった以外、2025年9月以降順調な上昇基調を辿っています。なお、前回講座で述べたように両者は基本的に連動する性質を持ちますが、直近時点で予想EPSの増加に関わらずBPSが若干低下し行って来いとなっています。これは5月の決算発表と合わせて予想EPSが今期の増益見通しを折り込む一方、BPSが前期の配当の支払い分を反映したためです。こうした対象期の予想ベースと実績ベースの差による行き違いはありますが、両指標の全体としての連動性が強いことは図から明らかです。ちなみに両者の相関度を示す相関係数は0.956です。
さて、現在の相場は市場が今後の企業業績の上昇を折り込めば実は正当な水準である、という(望ましい)想定が成り立つための増益幅はどのようなものかを見極めるための試算を以下で行いました。
この試算がよって立つ基準は、ファンダメンタルズによって規定される「基準相場」の決定式です。「基準相場」の決定式は以下の通りです。
基準相場=―7,803+21.49*予想EPS+131.7*米ドル+5.115*BPS
ここで試算の前提として、前回講座と同じく米ドルについては今後とも横ばいで推移するものとし、BPSは予想EPSと同じペースで変動するものとします。
下の表は今回の試算の基礎となった直近の各指標の実績と各ケースの試算による理論値をまとめた一覧表です。
左側の欄が各指標名、赤色の枠は5月15日時点の実績で青色の枠内に各ケースの算出結果(理論値)を示します。
上表から、今後16%の増益が実現すると理論値は5万153円となり上げ過ぎ限界値の5万162円とほぼ等しくなり、ギリギリでファンダメンタルズで説明できる範囲に収まることになります。
そして今後32%のかなり大幅な増益を想定すれば、理論値は5万5,267円で通常変動の上側、5万5,5285円に一致することになり、ファンダメンタルズに基づく正常な変動範囲に落ち着くことになります。
32%はややきつ目ですが16%の増益なら足許の業績動向から見て決して不可能な状況ではないと見られます。先々週から先週にかけての相場の動きはこうした可能性が着実に高まっていることを示唆しているようにも見られます。
当面の相場は下落基調が目立ったとしても、その背景に相場の正常化に向かっての相場と業績を中心としてファンダメンタルズの両面からの調整過程があるとすれば過度に不安視する必要はないと見てよさそうです。
*当講座でご案内している「基準相場」は上記の『資産運用のブティック街』のトップページにある無料の「相場の実相見る」コーナーで「日経平均と基準相場の推移」として毎日更新、公開しています。
同表では日経平均と「基準相場」を、短期として約6か月、長期として約3年間を対象に両指標を併せたグラフとしてご覧いただけます。
相場の根っこにある”ファンダメンタルズの実態”と実際の株式相場とを対比することで相場の”実相”を的確に捉える指標としてご活用いただければ幸いです。
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当講座は投資判断力を強化することを目的とした講座で投資推奨をするものではありません。
当講座を基に行った投資の結果について筆者及びインテリジェント・インフォメーション・サービスは責任を負いません。
講師:日暮昭
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。2004年~2006年武蔵大学非常勤講師。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を駆使した客観的な投資判断のための分析を得意とする。

