NEW F.マネージャーの視点/銘柄選定とその背景:「利回りで見る銘柄と投資家の対応」を公開しました。
(2019/12/6公開)

<『サイト学習コース』>
「投資の地力養成講座」の「F.マネージャーの視点/銘柄選定とその背景」で新講座を公開しました。


ー 利回りで見る銘柄と投資家の対応 -


 前回の当講座で日本の株式市場における配当利回りの実態と企業側の事情をマクロ的に見ましたが今回はそれを受けて利回り銘柄としてしばしば話題となる3社を取り上げてその中身を解説します。対象とする会社はタケダ(4502)、日産(7201)、JT(2914)です。
 下図は3社と市場平均としての日経平均の株価の推移を2015年3月を1とした指数で示すグラフです。


    ご参考:タケダ、日産、JTおよび日経平均の株価(2015年3月=1)
                 ー2015年3月~2019年9月ー

若林氏銘柄201912A


 3社とも特に2018年以降に日経平均を大幅に下回っています。ここで、3社はいずれも高利回り銘柄としての評価は固まっていますが、高い配当利回りを維持している背景・実態はそれぞれ異なります。以下は3社の配当利回りの実際です。


         ご参考: タケダ、日産、JTの配当利回り
              ー2015年3月~2019年3月ー

若林氏銘柄201912B
利回りは当該期の支払い配当金額を各会計年度3月末日の株価で除して求めています。JTは12月決算ですので株価は3月末ですが、配当は今期の予想額です。


上記各社の高配当利回り実施のポイントは以下の通りです。
〇日産
 親会社のルノーは43%の株式を保有する絶対的支配者とも言える存在で、そのルノーは、フランスの国営企業化しています。結果的にグループの稼ぎ頭の日産に最大限の配当を実現させきたようです。ゴーン体制崩壊後の新生日産が主体性を回復するとすれば現在の収益力からすれば減配に繋がるのが自然です。結局、配当政策において日産が主体的行動がとることが出来なかったと言えるでしょう。株価はそれを嫌気して人気が薄れ下落していったと思われます。配当は本来、まず業績の裏付けがあって、その上で経営者の株主還元の意識が十分あって実現すべきものです。

〇JT
 33%を保有する財務大臣が筆頭株主で配当は国の歳入に組み込まれます。当社は成長という切り口で見ると見劣りしますが、多角化を進め利益をあげています。そして利益の相当部分を配当に回し、また増配を継続してきたのはおそらく、大株主の方を向いた配当政策であったと思われます。しかし一方、成長というイメージは持ちずらく人気離散状態のなか株価が下落してきたようです。ただ、株価が2500円程度まで落ち込んでくると6%台の高利回りも目に入り、純粋に利回り狙いの買いが入ってくるようです。高利回りを期待できる株価の位置が実現されれば魅力ある銘柄であり続けると思われます。

〇タケダ
 前記の2社と異なり配当政策の自由度は高いのですが、異常なまでに180円配当を実施し続けるという極めて特殊な配当政策を実施しています。その実際の背景は分かりませんが、いずれにしても現在では利回りで買える有力銘柄の象徴のような存在です。最近、イギリスの製薬会社を“高すぎる買い物”と国内外から多くの批判はありましたがM&Aによってグループ内に取り込みました。その際、必要な資金の一部を自社株との等価交換によって捻出しましたが、利回りの魅力が株価維持に大きく貢献したことは事実です。結果としてM&Aを進める際の財務政策の重要な一面を果たすことになっているのです。180円配当を前提とすると株価4500円で4%の十分魅力的な利回りとなります。


 これら三社はそれぞれ異質な事情に基づいていますが、その高利回り実現の背景を理解することにより、持続的に保有する銘柄、保有期間を限定して参加するタイプの銘柄といった内容理解が進めば、今後の利回り投資に役立つことになるはずです。


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講師:若林利明
外資系機関投資家を中心に日本株のファンドマネージャーを歴任。NPO法人日本個人投資家協会協議会委員。世界の株式市場における東京市場の位置づけ、そこで大きな影響力を行使する外国人投資家の投資動向に精通する。著書:「資産運用のセンスのみがき方」など。

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bCAMレポート

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