投資には「王道」があります。それは、
自ら投資判断をし自らの責任で投資をすることです。
こうした“真の投資力”を身につけるためには
便利で簡単な近道はありません。
「長く曲がりくねった道」を着実に進んで行くことが
唯一でかつ最も早い道程になります。
<当サイトの成り立ち>
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3.3つの基軸で投資の基礎を固める
3つの投資評価基準を身につけることで完全投資への土台を作ります。
(1)ファンダメンタル分析:投資すべき価値の高い会社を見つける。
(2)テクニカル分析:適切な投資のタイミングを見極める。
(3)ポートフォリオ分析:予想できない収益の変動(リスク)を最小限に抑える。
≪ ポートフォリオ戦略実践講座 ≫
ー “新基準相場”による最新評価:リスクオン境界にある相場、ファンダメンタルズの上昇で正常化を期待 -
株式相場のファンダメンタルズを体現する「基準相場」
株式相場は様々に変化する環境によって予測不能な変動をしますが、こうした変動の根っこには相場を形成する基本的な条件に基づいて形成される中核となる部分(ファンダメンタルズ)があります。当講座ではこうしたファンダメンタルズの実体を、各種の相場に関連する経済的要因について統計的な検証を繰り返すことで現実の指標として「基準相場(*)」を規定、公開しています。
(*)「基準相場」について詳しい内容はこちらの「基準相場とは」をご参照ください。
当指標は変遷する相場状況に対応して毎年6月に最新の相場状況を折り込んで推計し直し7月に公開します。今回は2002年5月から2026年6月までの相場情勢を折り込んで再推計した「基準相場」による最初の相場分析です。
下の図は推計期間末の2026年6月から直近の2026年8月まで対象期間を延長し、日経平均と「基準相場」の月次終値の推移を示したグラフです(2026年8月は14日終値)。
日経平均と「基準相場」の推移(月次終値)
―2002年5月~2026年8月(14日)―

紺色の線が日経平均、青線が基準相場です。
この間に生じた4つの世界的大事件であるリーマン・ショック、コロナ・ショック、ロシアの侵略、そしてトランプ関税ショックの発生時期を青色の枠で、また、リーマン・ショック後の低迷から脱する契機となったアベノミクスの開始期を薄赤色の枠で示しています。
併せて推計の開始期と終了期、そして相場の節目としての日経平均が史上最高値を付けた6月25日と直近の8月14日について日経平均と基準相場の値を白色の枠内に記しています。
トランプ・ショック後の急騰局面で拡がる日経平均と基準相場のかい離
図から、2025年4月のトランプ・ショックまでは基準相場は日経平均の大きな変動をしっかりと追っており、また、一時的に両者がかい離してもほどなく日経平均が基準相場に戻っていることから、基準相場が相場形成の中核部分としてのファンダメンタルズを体現していると見てよさそうです。
しかし、トランプ・ショックの底値から相場が急騰した局面では基準相場が日経平均に追い付かず両者のかい離が目立ちます。特に日経平均が史上最高値を付けた2026年6月25日には両者の差は1万7,967円、33%となり、相場とその中核としてのファンダメンタルズとのかい離としては大き過ぎる、という感がぬぐえません。その後相場はやや調整模様となり、直近の8月14日の日経平均は6万8.743円、基準相場とのかい離は29%となっています。
それでは、ファンダメンタルズとの関係で大きすぎない相場の水準とはどの辺りになるのでしょうか。
この問題に対する納得的な答えは、過去の相場(日経平均)とファンダメンタルズ(基準相場)とのかい離の平均を基準とすることです。日経平均は上の図で見られるように基準相場を挟んで上下に変動しながら推移しているので、かい離が過去のかい離の平均の範囲内に収まっていればそれは特別な状況ではないと判断できるでしょう。
ここで統計学の知見を借ります。日経平均と基準相場とのかい離が所定の分布(正規分布)に従うものとすると、平均からかい離の平均(「標準偏差」)だけ離れた範囲には全体の67%が収まることになります。つまり、かい離がこの範囲内に入るということは約3分の2の確率が実現したということですから、通常の変動の範囲と言ってよいでしょう。
この統計学の特性をさらに敷衍すると、平均から標準偏差の2倍、そして3倍離れた場合はその範囲に入る確率がそれぞれ95%と99.7%となることが示されます。
相場状況を確率によって客観的に評価
ここで、推計期間における実際のかい離率の平均と標準偏差を測ると、それぞれ1.05%と12.5%でした。
この数値をもとに、平均値から標準偏差だけ離れた範囲と2倍の範囲に入る実際のかい離率の個数を数えたところ、標準偏差の範囲には189個が、2倍の範囲には281個が含まれました。これらの全体の個数(292個)に対する確率はそれぞれ64.7%と96.2%となり、上で示された統計上の確率である67%と95%にほぼ見合う値となっています。ちなみに3倍の範囲には全てが含まれ100%です。
ということで、実際のかい離率の分布を統計上の特性に当てはめることは現実的と言ってよさそうです。そこで、かい離率が平均を挟んだ標準偏差の範囲に含まれる領域を普通のかい離の状態ということで「通常変動域」とし、標準偏差の2倍の範囲内にはほとんどすべてのかい離率が含まれるのでこれを「限界変動域」と呼ぶこととします。
これらの領域設定の一方にある、これら領域から外れた部分について市場で一般に行われる相場状況の評価(呼び方)を当てはめます。すなわち、リターンの追及のみに没頭しファンダメンタルズでは説明のできない高さまで相場が上昇する状況を「リスクオン」と言い、逆にリスクの状態のみに注意することで相場が下げ過ぎの状態になることを「リスクオフ」と言います。
これは上記の「限界変動域」の範囲から上側または下側に外れる確率が2.5%で滅多に生じないケースということを鑑みて、上側に外れた領域を「リスクオン」、下側に外れた領域を「リスクオフ」に対応することとします。また、標準偏差の3倍より上側の確率は0.15%の発生確率となり、これは説明不能な高騰相場ということで「バブル領域」とします。
近時の急騰局面で相場はリスクオンの境界に
下の図は2002年5月から2026年8月までのかい離率の推移に、上記の条件に実数値を当てはめて得た相場領域を合わせて示したグラフです。中央の黒線がかい離率の平均値、黒線を挟んだ上下の緑線が標準偏差の位置でこの範囲が「通常変動域」、赤線が標準偏差の2倍の位置でこの上側に外れた領域が上記の「リスクオン」、下側が「リスクオフ」となります。そして濃い赤線は3倍離れた位置を示し、その上側が「バブル領域」となります。
日経平均と基準相場とのかい離率の推移(月次終値ベース、%)
―2002年5月~2026年8月(14日)―

図から、近時の相場状況を評価すると、トランプ・ショック後の急騰局面で相場はリスクオン領域に達していますがバブルの境界にはまだ大分距離があること、また、相場はバブル崩壊後の底値からの回復過程でも2006年にリスクオン領域に達していますが、その際はほどなく抜け出して通常変動域まで戻っています。こうした状況から今回の相場急騰もバブル領域にまで突っ込む局面にはなさそうです。遠からずファンダメンタルズとの関係性がギリギリ届く「変動限界」に戻ることが期待できそうです。
ところで、上の図はかい離率の推移に対応する相場の状態を示したグラフですが、実際の相場水準とつなげるために、それぞれの領域に対応する境界を実際の相場水準に引き直して示したのが以下のグラフです。
対象期間をトランプ・ショック以降の相場に絞り、2025年初から2026年8月14日まで日次ベースできめ細かく推移を示しています。
日経平均、基準相場と通常変動の上側と下側および変動上限の推移(日次終値)
―2025年1月6日~2026年8月14日―

図で、トランプ・ショック時には日経平均は通常変動の下側を割り込み、相場は相当な下落圧力が働いたことが分かります。しかし、相場は直ぐに回復しファンダメンタルズに見合う基準相場から通常の変動域の境界をしばらく辿った後、2026年2月からはリスクオンの境界を挟んで上下する状況が続いています。史上最高値を付けた時点ではバブル領域まで約2,000円のところまで接近しましたがこれは一時的な上放れ現象と見られます。以降は日経平均は変動上限に沿った動きを続けており、今後リスクオン領域に定着するのか、あるいは相場の形成構造が正常に働く限界である変動限界の領域に戻るのか注目されます。
近時の傾向として企業業績の好転がうかがわれるところから、業績の改善によってファンダメンタルズが上昇することで、日経平均と基準相場のかい離が解消し相場が正常化することを期待したいところです。
*当講座でご案内している「基準相場」は上記の『資産運用のブティック街』のトップページにある無料の「相場の実相見る」コーナーで「日経平均と基準相場の推移」として毎日更新、公開しています。
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同表では日経平均と「基準相場」を、短期として約6か月、長期として約3年間を対象に両指標を併せたグラフとしてご覧いただけます。
相場の根っこにある”ファンダメンタルズの実態”と実際の株式相場とを対比することで相場の”実相”を的確に捉える指標としてご活用いただければ幸いです。
*当講座についてのご意見、ご質問等ございましたら以下までご一報いただければ幸いです。
higurashi@iisbcam.co.jp
(*)ご注意
投資判断はご自身で行ってくださるようお願いいたします。
当講座は投資判断力を強化することを目的とした講座で投資推奨をするものではありません。
当講座を基に行った投資の結果について筆者及びインテリジェント・インフォメーション・サービスは責任を負いません。
講師:日暮昭
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。2004年~2006年武蔵大学非常勤講師。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を駆使した客観的な投資判断のための分析を得意とする。
