投資には「王道」があります。それは、
自ら投資判断をし自らの責任で投資をすることです。
こうした“真の投資力”を身につけるためには
便利で簡単な近道はありません。
「長く曲がりくねった道」を着実に進んで行くことが
唯一でかつ最も早い道程になります。
<当サイトの成り立ち>
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≪ ポートフォリオ戦略実践講座 ≫
ー 不安定性の高まりで要注意の株式相場:背景にファンダメンタルズとのかい離拡大 -
史上最高値圏続く株式相場
株式相場は2026年2月10日に日経平均が史上最高値の5万7,650円をつけ、直近の20日でも5万6,825円となるなど最高値圏を推移しています。ただ、近時の相場は日経平均が1,000円を超える変動をしばしば見せるなど市場の不安定性、リスクが高まっていることは事実です。こうした状況の背景には実際の相場が相場を形成する基本条件であるファンダメンタルズと大きくかい離していることが考えられます。
今回はこうした関係を株式相場とファンダメンタルズの実態を見ることで検証します。
当講座ではファンダメンタルズに基づく相場を日経平均の水準に即した指標として「基準相場」を開発、公開しています。当指標は相場を決定するファンダメンタルズの要素として(1)基幹要因として企業業績、(2)海外の諸情勢、(3)企業の基礎的な体力――の3つの要素を想定、これらの要素を代表する具体的な指標によって日経平均を説明する指標として規定されます。詳しくはこちらの「基準相場とは」をご参照ください。
ファンダメンタルズを置き去りにした株式相場の高騰
下図は日経平均と「基準相場」の推移を、ロシアのウクライナ侵略以前の2022年初から直近の2026年2月20日まで日次終値ベースで示したグラフです。
日経平均と「基準相場」の推移(日次終値)
―2022年1月4日~2026年2月20日―

紺色の線が日経平均、赤線が「基準相場」です。
図から、2022年初には日経平均と基準相場は近く、相場はファンダメンタルズにほぼ見合う安定した状況にありましたが2月のロシアによるウクライナ侵略を機に相場は低迷する一方、国際情勢の不安定化から円安が進んだことで基準相場が一時的に上昇し両者はかい離を拡げました。しかし、2023年6月には基準相場が落ち着き日経平均も持ち直したことで両者はほぼ一致、相場は安定状態に戻りました。
相場が回復した2023年6月以降、2024年8月に前月7月の急上昇の反動による急落はありましたが、2025年4月まで基本的にファンダメンタルズに沿った安定的な推移を見せています。特に反動安から回復した2024年8月から2025年4月までの8か月間は日経平均と基準相場がほぼ一致する異例の完全安定状態が続きました。
そんな安定状況の仕返しと言わんばかりに2025年4月にトランプ関税が勃発しました。日経平均は前年の反動安の底値も下回る3万1,136円まで急落、しかしその後の回復は素早く1か月後にはショック前の水準まで戻しました。
そして、そこから現在に至る相場の高騰過程が始まります。日経平均はトランプショックの底値から直近の2月20日の5万6,825円まで1年足らずの間に82%の上昇となっています。この急騰にさすがにファンダメンタルズはついていけず、直近の2月20で基準相場は日経平均を1万4,800円、35%と大幅に下回っています。
相場の不安定さ(ファンダメンタルズとのかい離の程度)を確率で捉える
さて、このように足許で相場がファンダメンタルズを大幅に上回っている中、市場関係者が注目するのはこの相場水準は今後もしばらく続くのか、あるいは行き過ぎで反落するのか、または、さらに上昇余地があるのか、といった今後の方向です。その際にまずやるべきことは足許のかい離の実態を客観的かつ正確におさえることです。
当講座では日経平均(株式相場)と「基準相場」(ファンダメンタルズ)の過去のかい離の実績を統計的に処理することで、両者のかい離の程度を確率で示す指標として「相場基準指数」を作成、折々に公表しています。
当該の状況におけるかい離の確率が十分小さければそのかい離は滅多に生じないわけですから遠からず解消する、つまり上方のかい離の場合は反落し、下方のかい離の場合は反転上昇する可能性が高いことになります。
ここで、問題はこの“十分に”小さいという程度を具体的にどのように判断するかということですが、ここで、試験の成績の評価などで一般に用いられている「偏差値」を相場評価の基準に適用します。
成績の評価の場合は平均の位置を50点として40点から60点の間であればそれほどよくも悪くもない普通の成績、70点以上であれば優秀な成績、80点以上であれば特別に優れた成績となります。一方、30点以下であれば落第スレスレ、20点以下であれば余程頑張らなければ落第まちがいなしの成績ということになります。こうした評点を相場評価の基準に引き直します。
下表は偏差値の評点に対応した成績評価と相場評価、およびその当該確率を一覧した表です。
下の図は「相場基準指数」の推移に上の評価基準を併せて示したグラフです。
「相場基準指数」の推移(日次終値)
ー2022年1月4日~2026年2月20日―

図で、50点がファンダメンタルズに一致する水準で相場は完全な安定状況にあることを示し、50点を挟んだ40点から60点の間は相場は通常の変動域にあり、この範囲であれば静観して良い状況と言えます。
そして、70点を超える場合は相場の発生確率は2.5%、すなわち100日のうちの2~3回の発生というレアなケースですからこの位置で長く続くことは考えにくく相場は安定的な位置、つまり下落する可能性が高いということで対応を準備することになります。さらに80点以上の場合の発生確率は0.15%で、これは1000日すなわち3年に1~2回の発生ですから異常な事態で直ちに対応(退避)が必要な状況ということになります。30点以下、20点以下の対応については割愛しますが、上げ相場と逆の下げ過ぎの対応、すなわち市場への買い準備および買いをすることになります。
市場リスクの高さに注目
さて、上の相場評価基準を踏まえて現下の相場の状況を見ると、昨年の12月から相場基準指数は70点を超えて上げ過ぎの状況に入り、さらに今年2月9日からは20日まで2週間続けて異常状態を示唆する80点を超えており相場は通常ではあり得ない高値の状態が続いていると言えます。
この高値の根元にはコロナ禍を契機とした世界的な金融緩和を背景として現在に続く膨大なマネーの総量があると考えられます。投資家は潤沢な資金量を背景に或る程度の失敗をしても(リスクを取っても)致命傷にならないということで、むしろリスクを取ってもより高いリターンを目指すいわゆる「リスクオン」の姿勢をとることになります。
こうした状況からつながるのはいわゆる「材料相場」と言われる相場の不安定性の高まりです。何らかのきっかけを取っ掛かりに相場は上げ下げが激しくなります。
近時、日本においてのメディアの相場評価が、アメリカの株式相場の影響、中東情勢の緊迫化、中国の対日政策の緊張高まる・・・など相場の状況に合わせて日替わりで(コロコロ)変わっているのは材料相場の一つの表れと言えそうです。
こうした状況下では一つ一つの材料にとらわれず、大きな相場変動の本質は市場リスクの高まりであり、上げ下げの幅が大きくなるのは当然の現象として、たまたま近時は上げの部分が集中していると割り切ることも可能ではないでしょうか。
その上で、上記の「相場基準指数」が80点を超えている点(反落の可能性)は心に留めておいても良い条件のひとつと思われます。
*当講座についてのご意見、ご質問等ございましたら以下までご一報いただければ幸いです。
higurashi@iisbcam.co.jp
(*)ご注意
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当講座は投資判断力を強化することを目的とした講座で投資推奨をするものではありません。
当講座を基に行った投資の結果について筆者及びインテリジェント・インフォメーション・サービスは責任を負いません。
講師:日暮昭
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。2004年~2006年武蔵大学非常勤講師。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を駆使した客観的な投資判断のための分析を得意とする。

