投資には「王道」があります。それは、
自ら投資判断をし自らの責任で投資をすることです。
こうした“真の投資力”を身につけるためには
便利で簡単な近道はありません。
「長く曲がりくねった道」を着実に進んで行くことが
唯一でかつ最も早い道程になります。
<当サイトの成り立ち>
当サイトは大手経済新聞社OBを中心にファンド・マネージャー、チャーチスト、外国事情に詳しい大学教授らが結集し個人を対象に完全中立の立場で投資の学習講座を提供するものです。講師はそれぞれの専門分野について質の高い講座を丁寧に提供することで講座の「ブティック」を構成します。
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3.3つの基軸で投資の基礎を固める
3つの投資評価基準を身につけることで完全投資への土台を作ります。
(1)ファンダメンタル分析:投資すべき価値の高い会社を見つける。
(2)テクニカル分析:適切な投資のタイミングを見極める。
(3)ポートフォリオ分析:予想できない収益の変動(リスク)を最小限に抑える。
≪ ポートフォリオ戦略実践講座 ≫
ー 相場の警戒水準を数値で示す「リスクレベル指数」登場 -
〇相場を基本部分のファンダメンタルズと不確実性をもたらす「リスク」に分解
株式相場は、日経平均が10月31日に史上最高値を付けた後はピーク感を漂わせつつ、足踏み状態が続いています。ここからもうひと頑張り上の段階があるのか、あるいはこのまま調整過程に入るのか、注目されるところです。
しかし、近時の相場乱高下の中、今後の相場見通しを適正に行うことは極めて難しそうです。そこで、こうした相場状況に対処するには正攻法をとるべきでしょう。すなわち、相場を形成する基本条件、ファンダメンタルズに注目することです。
当講座ではファンダメンタルズに基づく日経平均に対応する指標として「基準相場」を計測、個人の投資学習のためのウエブ講座、「資産運用のブティック街」内の「相場の実相を見る」コーナーで無料公開しています。ご興味がおありの節は一度ご参照いただければと思います。
さて、複雑な相場状勢を解析する第一歩はファンダメンタルズによって本来のあるべき相場の位置を確認することですが、もとより株式相場はファンダメンタルズだけで決まるものではありません。時々の様々な要因によって常に不確実な想定しがたい動きをします。市場ではこうしたファンダメンタルズでは説明のできない相場変動の部分を「リスク」(注)と称します。現下の相場はこのリスクが大きな顔で仕事している状況と言えます。
こうした情勢下ではリスクを実際の株式相場から切り分け、リスク自体の変動特性を解析することが有効です。リスクは実際の株式相場とファンダメンタルズとの差ですから、(日経平均―基準相場)として具体的な数値として得られまので、種々の統計的な処理が可能になります。以下でリスクの統計的処理によって得られるリスクの特性について見ます。
(注)一般にはリスクというと事故に遭うリスクといった悪いことが生じる可能性のことを言いますが、投資の世界では不確かな変動によって想定外の結果となる可能性が高いことを指します。したがって思わぬ大きな利益が出る、望ましい可能性についてもリスクが大きいと言います。
〇リスクの特性の本質は自然界の普遍的性質と同じ
さて、株式相場変動の最大の特徴の一つは一時的にファンダメンタルズからかい離してもいずれファンダメンタルズに戻るという事実です。このことは、すなわち、相場がファンダメンタルズから大きくかい離すればするほどファンダメンタルズに戻る力が強く働くことになります。
この性質を上述の「リスク」に置き換えると、リスクはゼロを中心に変動し、かつゼロから大きく離れるほどゼロに回帰する力が強く働く、つまりゼロから離れるほどその位置にある可能性は小さくなることになります。
こうした特性は実は自然界における普遍的な性質と軌を一致にするものです。すなわち自然界では、ある事象が本来の正しい位置から様々な偶然の要因によって本来の位置からかい離する時、本来の位置から離れるにつれてその発生する可能性は低くなることと同様です。
そして、特にこの本来の位置から上方、下方に離れる際の発生可能性が低くなる程度が等しい場合、統計上の知見から該当するリスクに対応してその発生の確率を規定することができます(このことは実際のデータによって実証されています)。
この特性を株式相場に適用して、リスク(日経平均と基準相場とのかい離)の大きさに対応する発生確率を付与したのが、今回ご案内する「リスクレベル指数」です。
〇「リスクレベル指数」で見る相場反転の実際
当指数は、かい離率そのものではかい離の程度を厳密に示すには難があるため、入試の難易度などを示す指標として馴染み深い「偏差値」(*)に規準化して相対的な大きさをひと目でわかるようにしています。
(*)「偏差値」についての解説は前回講座をご参照ください。ここでは、指数が70点以上であれば相場は上げ過ぎでいわゆる「リスクオン」の状態、30点以下は下げ過ぎで「リスクオフ」の状態、そして40から60点の間であれば相場は通常の変動範囲であり、安定状態であるとみなせることのみを押さえていただければと思います。なお、リスクが完全な中立であるリスクゼロはファンダメンタルズである「基準相場」に対応し、50点となります。
下図はウクライナ侵攻による相場波乱を含む2022年初から2025年10月末の日経平均の最高値を含む直近の2025年11月末までについての「リスクレベル指数」の推移を日次ベースで示したグラフです。
「リスクレベル指数」の推移(日次ベース)
―2022年1月4日~2025年11月28日―

図で、中央の黒線は50点のリスクゼロの中立状態、緑線は安定状態である通常変動の範囲を、そして赤線はここを上方に超えれば相場は上げ過ぎの「リスクオン」、下方に下回れば下げ過ぎの「リスクオフ」の境界を示します。
図から、10月31日の日経平均最高値の指数は75.1点で上げ過ぎのリスクオンの領域に十分入り込んでいます。この領域では相場は長くとどまることは困難、すなわち指数は変動限界の70点まで引き戻される力を強く受けます。
この、2022年以降の期間における他の相場の節目としては、2022年のウクライナ侵攻による相場波乱の底値、2024年の日経平均が初めて4万円台に達した反動安の底値そして2025年のトランプ・ショックによる急落が挙げられます。いずれも緑線の通常変動の下側を割り込んでおり相場は通常変動の下限は下回っていますが、リスクオフの領域にはまだ距離があり反騰を目指して強い反発力が働く状況ではありません。
一方、直近の11月28日における指数は70.1点と若干ながら70点台に乗っており、反落の可能性は否定できません。なお、日経平均が初めて4万円台を付けた2024年の高値は指数がちょうど通常変動域上限の60点で、何とか安定状態の範囲内でした。以上の各節目について、それぞれの日付と指数の値を白枠内に示していますが、日経平均の最高値については変動限界の70点を超えているので特に赤枠で記しています。
合わせて参考までに、直近時点における日経平均の上限、すなわち反落警戒の境界と通常変動の範囲に対応する値、そしてリスクゼロで完全な安定状態となる基準相場を左上方の薄赤色の枠で示しています。
このようにリスクレベル指数によって相場の位置づけを数値として明確に把握することができますが、ただ、それぞれの相場状況に対応する日経平均の実際の水準はいくらなのかが見えないという、臨場感に欠ける点が“玉にキズ”です。
そこで、こうした指数の推移を実際の相場水準に移し替えて見てみましょう。
〇直近の相場状況とリスクの変動特性から見る当面の相場見通しは?
下図は日経平均、基準相場と併せてリスクレベル指数を日経平均に対応する変動の限界域を示したグラフです。
日経平均、基準相場と日経平均の変動限界の推移(日次ベース)
―2022年1月4日~225年11月28日―

紺色の線が日経平均、青線が基準相場で通常変動域の境界が緑線、変動限界域の境界を赤線で示しています。
緑線の通常の変動範囲を下側に外れたケースは、ウクライナ侵攻時の底値、日経平均の4万円達成後の反動安そしてトランプ関税ショックで、白枠内にその時期と日経平均および対象となる通常変動の下側境界の値を記しています。いすれも変動限界の赤線の範囲内に収まっており、反騰を警戒すべき領域には達していません。
一方、変動限界の上側境界を超え反落の警戒領域に入ったのは日経平均の最高値と直近時点の2回です。日経平均の最高値については限界値を2,400円余りと大幅に超えていることで、ここでも特に赤色の枠内で記しています。直近時と日経平均が4万円達成後の高値については白枠で印しています。なお、後者についてはわずか30円程度の通常域超えですからほぼ通常変動の範囲内と見てもよいでしょう。
さて、冒頭で述べた困難な今後の見通しですが、上図から直近時点の相場は日経平均の変動上限の境界上にあり、日経平均はより安定した状況を目指す力が依然働いていると見ることができます。その落ち着き先としては、当面は変動限界の上側である5万円強から通常変動の上側である4万5,500円の範囲が考えられます。
*当講座でご案内している「基準相場」は上記の『資産運用のブティック街』のトップページにある無料の「相場の実相見る」コーナーで「日経平均と基準相場の推移」として毎日更新、公開しています。
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同表では日経平均と「基準相場」を、短期として約6か月、長期として約3年間を対象に両指標を併せたグラフとしてご覧いただけます。
相場の根っこにある”ファンダメンタルズの実態”と実際の株式相場とを対比することで相場の”実相”を的確に捉える指標としてご活用いただければ幸いです。
*当講座についてのご意見、ご質問等ございましたら以下までご一報いただければ幸いです。
higurashi@iisbcam.co.jp
(*)ご注意
投資判断はご自身で行ってくださるようお願いいたします。
当講座は投資判断力を強化することを目的とした講座で投資推奨をするものではありません。
当講座を基に行った投資の結果について筆者及びインテリジェント・インフォメーション・サービスは責任を負いません。
講師:日暮昭
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。2004年~2006年武蔵大学非常勤講師。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を駆使した客観的な投資判断のための分析を得意とする。
