投資には「王道」があります。それは、
自ら投資判断をし自らの責任で投資をすることです。
こうした“真の投資力”を身につけるためには
便利で簡単な近道はありません。
「長く曲がりくねった道」を着実に進んで行くことが
唯一でかつ最も早い道程になります。
<当サイトの成り立ち>
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(3)ポートフォリオ分析:予想できない収益の変動(リスク)を最小限に抑える。
≪ ポートフォリオ戦略実践講座 ≫
<新年明けましておめでとうございます>
本年も滋養の濃い講座によって皆様の投資の地力を高めるお手伝いをしたいと思っております。
変わりませず、当講座をご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
ー 円ドル相場の変動構造を前回の株式同様の統計的知見で読み解く -
さて、新年第1回の講座は、長期的な流れの中でその変動の構造を統計的な知見から明らかにすることで為替相場の先行きを探る具体的な手立てをご案内します。
為替相場を決定する基本的な条件、ファンダメンタルズとしては実体経済の側面として経常収支、金融の面からは対象国との金利差が挙げられますが、為替の変動はこうしたオーソドックスなアプローチで素直には捉えられないのが悩ましいところです。それは、為替市場に参加する多くの投資家あるいは金融当局など様々な関係者それぞれの思惑が交差するためと見らます。
これは、実は前回講座でご紹介した株式相場が本来の姿であるファンダメンタルズと必ずしも一致しないのと同じ構図と言えます。すなわち、為替相場の変動は中央値を最高に左右対称に頻度が下がる釣り鐘型の分布(正規分布)となる可能性があり、そうであれば前回講座に倣って相場変動に対応した発生確率、言い換えれば反転の可能性を数値的に捉えることができます。
ただし、株式相場においては業績という中核となるファンダメンタルズ要素があることで、分析の対象は実際の相場とファンダメンタルズとのかい離としましたが、為替相場の場合はファンダメンタルズの柱となるべき主役が見当たらず(経常収支等と円ドル相場との相関関係を統計的に検証しましたが有意性は認められませんでした)、相場変動自体を分析の対象とします。
対応策として、なるべく多くの相場局面における為替変動の実態を取り込むため、分析の対象期間を可能な限り長期に設定しました。
〇円ドル相場の長期の変遷
下図は1980年1月から直近の2025年12月までの円ドル相場の月次終値の推移を示すグラフです。
円ドル相場の推移(月次終値)
ー1980年1月~2025年12月―

図では期初と直近期のほか、この間の相場の節目となった8回の事件・事象についてそれぞれ枠内にその時期とドル相場を記しています。
期初と直近は緑色、G5(日米英独仏)の協調介入で実勢を超えるドル高を一気に解消した1985年9月のプラザ合意、そしてこのドル高修正の仕上げとして為替の安定化についてG7(G5プラス伊、加)で合意した1987年2月のルーブル合意を薄赤色の枠で示しています。そして1989年末の株式バブルのピーク時とその後のバブル崩壊の起点となったドル高(円安)のピークを黄色の枠で示し、円急騰局面の契機であるリーマン・ショックと円急騰が収束したアベノミクスの開始は青色の枠でマークしています。なお、期間中の円ドル相場のボトムとピークについては白色の枠内に記しています。
ーーーー <ご参考> ーーーー
・ニクソン・ショック(1971年8月):ニクソン米大統領がドルと金の交換停止。
・スミソニアン合意(1971年12月):ニクソン・ショック後の混乱を収めるため固定相場制の維持を図る(1ドル360円から308円へ)。
・変動性相場へ(1973年2月):1ドル308円の固定レートから完全変動相場制へ移行。
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〇為替相場の変動特性を統計上の道具で解き明かす
この間の円ドル相場の流れの中で目立つのは、やはりプラザ合意とルーブル合意です。プラザ合意では円相場は220円台から一気に150円台まで上昇し、ルーブル合意以降は110円台から130円台の範囲を中心とした変動に移っています。この傾向は現在まで続いており、ルーブル合意後は為替市場の構造がほぼ安定して推移していると見ることができそうです。
変動の構造が安定的であればその特性を統計上の道具で解明することが可能になり、それを基に客観的な先行きの相場見通しが可能になることが期待できます。そこで、統計的な解析を行う際の最も基本的な指標である平均値と標準偏差を求めます。平均は115円87銭、標準偏差は18円36銭でした。
下図は1987年2月から直近の2025年12月までの円ドル相場の月次終値の推移に併せ、平均値を黒線で、平均値から標準偏差だけ離れた位置を緑線、2倍離れた位置を赤線で示したグラフです。ここで、標準偏差は英文の「Standard Deviation」を略して“SD”と記しています。
円ドル相場の推移と平均、標準偏差の境界(月次終値)
ー1987年2月~2025年12月―

緑線ではさまれた範囲は平均から上下に標準偏差だけ離れた位置である97円50銭から134円23銭となりますが、この範囲は円相場が平均的な変動をする範囲ということで当然ながら変動の大部分はこの範囲に収まっています。
一方、平均から標準偏差の2倍離れた位置である赤線の位置は79円14銭から152円60銭となり、この範囲まで拡げると円ドル相場の推移はほとんどがこの範囲に収まりますが、これは逆に言うとこの範囲から外れるケースは特異な状況であると言えます。
こうした相場変動の通常、あるいは特異なケースがどの程度の頻度で発生しているのかを一覧で示すのが以下のヒストグラムです。
円ドル相場のヒストグラム
―1987年2月~2025年12月―

図から、円ドル相場は平均値の115円近辺に多く、中央値から離れるに従って発生頻度が減っています。
こうした釣り鐘型の分布の理想形を数理的に定式化した分布が前回講座でご案内した「正規分布」です。正規分布の最大の特長は中央値を挟んで上下に標準偏差の範囲に入る確率が68%で標準偏差の2倍の範囲に入る確率が95%になると規定できることです。ただし、標準偏差の2倍の確率が実際に使われるのは、この範囲から上側あるいは下側に外れる確率が(100-95)の半分で2.5%になる点です。
すなわち、円ドル相場が79円14銭を下回るドル安(円高)、あるいは152円60銭を上回るドル高(円安)となる確率は2.5%ということで通常ではあり得ない特異なケースに当たることになります。
〇円ドル相場の変動特性から見ると足元の状況は・・・
下の図は実際の相場の発生頻度と理論的に得られる発生確率との関係を明確にするために、ヒストグラムと数理的に得られる正規分布とを併せて描いたグラフです。
円ドル相場のヒストグラムと本来の正規分布の併せグラフ
―1987年2月~2025年12月―

図から、円ドル相場が緑の枠で示した97円50銭から134円23銭の間であれば、これは全体の68%、約3分の2が収まるということで、通常の変動域にあり相場は安定的な状態であると見なせます。
一方、薄赤色で示した79円14銭を下回る、あるいは152円60銭を超える相場は発生確率が2.5%、すなわち100回のうち2、3回(約8年のうちの2~3か月)ということで、極めて特異のなケースと言うことになり、この状態は長く続くことはない、つまり相場が反転する可能性が高いと見ることができます。
ここで、こうした確率の評価はヒストグラムで示される相場変動の特性が正規分布に従う(十分に近似している)ことを前提とします。そこで、ヒストグラムと理論的な正規分布との相関度の高さを相関係数で見ると0.814で80%を超えており、ほぼ合格ラインに達しているかと思われます。
さて、これまでの検証を踏まえた上で、足元の円ドル相場を見てみると1月7日の中心値は156円61銭となっており、反転の警戒域である152円60銭を上回っています。
円ドル相場は今後円高の方向に向かう力が働くと見ることができますが、どうでしょう。
*当講座についてのご意見、ご質問等ございましたら以下までご一報いただければ幸いです。
higurashi@iisbcam.co.jp
(*)ご注意
投資判断はご自身で行ってくださるようお願いいたします。
当講座は投資判断力を強化することを目的とした講座で投資推奨をするものではありません。
当講座を基に行った投資の結果について筆者及びインテリジェント・インフォメーション・サービスは責任を負いません。
講師:日暮昭
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。2004年~2006年武蔵大学非常勤講師。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を駆使した客観的な投資判断のための分析を得意とする。
*当講座でご案内している「基準相場」は上記の『資産運用のブティック街』のトップページにある無料の「相場の実相見る」コーナーで「日経平均と基準相場の推移」として毎日更新、公開しています。
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同表では日経平均と「基準相場」を、短期として約6か月、長期として約3年間を対象に両指標を併せたグラフとしてご覧いただけます。
相場の根っこにある”ファンダメンタルズの実態”と実際の株式相場とを対比することで相場の”実相”を的確に捉える指標としてご活用いただければ幸いです。
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