理論が推奨するインデックス・ファンド
 ベータ値を用いて自前のインデックス・ファンドを組む方法を、連動性の検証期間が1年間となったのを機に改めてご紹介します。

 インデックス・ファンドとは市場全体と同等の動きをする、つまり市場全体と同等のリスクとリターン特性を持つように組まれたポートフォリオのことです。
 市場全体の投資成果は、一定の前提の下で理論的に最適なパフォーマンスを実現することが知られています。
 実際には前提が相当厳しいので、現実の世界がそのまま当てはまるわけではありませんが、日経平均やTOPIXなど市場全体を表す株価指数のリターンを継続的に上回る投資成果を上げるのはプロでも容易でないという現実をみると、市場全体は優れたポートフォリオであるというシナリオはそれなりに説得力があります。

ベータ値を使って手持ちの銘柄をインデックス・ファンドに
 このように有利なパフォーマンスを期待できる市場全体の動きを、ベータ値を使うことで簡便に再現しようというのがここでの目的です。
 ここでは、主な業種の代表的な銘柄10銘柄を使って、ポートフォリオのベータ値が結果的に1になるようにポートフォリオを組みました。ベータ値は1であれば市場全体と同じ変動をすること、そしてポートフォリオに組むことでベータ値の信頼性が高まるという性質を利用しました。

 設定時点は2008年12月末、ファンドの総額は500万円をメドとしました。
 結果は下表の通りです。投資総額は471万9,600円でした。ただし、税金、手数料は含みません。

   表1. インデックス・ファンドの設定(2008年12月末)

(注)ここでの10銘柄は本コラムの説明にふさわしい銘柄を選んだもので、推奨するものではありません。また、こうしたポートフォリオはExcel(*)の機能を使って求めることが出来ます。
(*)Excelはマイクロソフト社の商標です。

 各銘柄は単位株数でまるめて買い付けるので理論的な組み入れ比率と実際の購入額がずれるため、ポートフォリオのベータ値は1.07と1を若干上回りました。組入れ額が大きかった銘柄はパナソニックの111万円、新日石の89万円などで、武田、東電は結果的に組入れから外れました。

市場全体と高い連動性
 さて、2008年末に組んだこのポートフォリオの2009年の年間運用成績はどうだったでしょう。
 市場全体の変動をTOPIXで表し、両者の資産価値の推移を表したのが下図です。両者の動きを直接比べられるよう、どちらも2008年末を100として指数化してあります。

   図1.インデックス・ファンドとTOPIXの推移 -2008.12~2009.12-

 TOPIXは2月に88.1の底をつけた後、8月まで順調に回復してピークの112.4に達しましたが、その後、ドバイ・ショック、円高などで11月にかけて97.9まで急落し、そして12月に105.6まで戻すという浮き沈みの激しい展開となりました。結局、年間では5.6%の上昇となりました。

 これに対してインデックス・ファンドの底は1月の92.1とTOPIXより浅く収まり、その後の回復も堅調で8月にピークの119.8をつけました。これはTOPIXのピークを7ポイントほど上回ります。
 しかし、その後の下落はTOPIXよりきつく、11月は95.6とTOPIXの97.9を下回りました。12月の回復ではまたTOPIXを上回り、年末は107.2となりました。年間では7.2%の上昇でTOPIXを若干上回る結果で終わっています。

 インデックス・ファンドはTOPIXより変動の度合い、すなわちリスクが大きめで、リターンも高めと言えますが、全体としては高い連動性を見せています。ちなみに、連動性の程度を示す相関係数は0.876です。

今後の相場展開次第で有望なインデックス・ファンド
 2008年末に10銘柄という比較的少ない銘柄でベータ値をもとにインデックス・ファンドを組み、市場と同等の投資成果を目指すという当初の目的は達成できたと言えそうです。
 今後、相場が強基調で推移するとするならば、こうしたインデックス・ファンドは低いリスクで高めのリターンを追及する有効な手段となるかもしれません。

【ご参考】
ここでのインデックス・ファンドの基になったベータ値の求め方、Excelの使い方については2008年9月16日付けの本コラムをご参照ください。

○お手持ちの銘柄をもとにインデックス・ファンドを求めることをご希望の方は代行計算を行います。ただし対象銘柄は10銘柄以内とさせていただきます。
詳しい内容をご希望の場合は以下のアドレスに、“インデックス・ファントの代行計算資料請求”とお書きいただきお申込みください。資料をお送りいたします。
アドレス:higurashi@iisbcam.co.jp

日暮 昭
日本経済新聞社において証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。2004年~2006年武蔵大学非常勤講師。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。