*「リスク回避指数」について詳しくはこちらをご参照ください。
≪ ポートフォリオ戦略実践講座 ≫
ー 過熱状態(リスクオン)の領域で気迷い気味に動く株式相場 -
2024年から2025年8月までの株式相場の変動は長い相場の歴史の中でも荒っぽい動きをした期間のひとつとして記憶されるかもしれません。
2024年2月22日に日経平均は34年ぶりに1989年末のバブル期のピークを超える3万9,098円の高値を達成した直後の24日にロシアによるウクライナ侵攻という暴挙が勃発、為替を含む国際相場環境は一気に流動化しました。しかし株式相場はその後も堅調に推移し、日経平均は7月11日に最高値の4万2,224円をつけました。国際情勢の激変による不透明感の高まりを無視した形のこの高値はさすがにとがめられたか8月5日には3万1,458円まで1万766円、25%の急落となりました。
しかし、相場の腰は存外に強く、日経平均はこの急落から直ぐ回復し翌2025年の4月まで下図に見るようにファンダメンタルズに沿った安定した動きを続けました。
そこで2025年4月に突如現れたのが”トランプ関税”という怪獣です。この怪獣出現のショックによって日経平均は4月7日には2,600円余り急落し3万1,136円となりました(これは前回の2024年8月の急落時とほぼ同じ水準。突然の相場急落時の底値のメド?)。
しかし相場はこの底値からも直ぐ反発し、その後堅調に上昇を続けた結果、日経平均は8月18日に2024年の最高値を超える4万3,714円をつけました。4月の底値から4か月余りで約1万2,500円、40%の急騰はさすがに上昇ペースが速くその後の4日間で1,081円下落し直近の8月22日には4万2,633円となっています。
下図はこうした日経平均の大きな変動を、日経平均の本来の水準(ファンダメンタルズ)を示す「基準相場」と対比して示したグラフです。2024年初から2025年8月22日までの両指標の日次ベースの推移を示しています。
日経平均と「基準相場」の推移(日次終値)
―2024年1月4日~2025年8月22日―

紺色の線が日経平均、青線が「基準相場」です。2024年2月の日経平均のバブル超え、2024年7月と2025年8月の高値を赤マークで、そして高値の後の底値を青マークで印しています。
上図から、この間の基準相場は期初の3万4,265円から直近の3万6,157円まで1,892円、5.5%の緩やかな上昇に止まったのに対し、日経平均は3万3,288円から4万2,633円まで9,345円、28%上昇しており、基本的に株式相場はファンダメンタルズを超える強気の相場形成が続いた時期だったと言えます。
このように結果として良好な成果を収めている相場ですが、相場の高値と底値において基準相場(ファンダメンタルズ)とのかい離が極めて大きい点が気になります。ことに直近の高値圏でのかい離は大きく、この先の相場見通しを不透明にしています。
株式相場は一時的にファンダメンタルズから離れてもいずれは本来の姿であるファンダメンタルズに回帰するという大原則があるので、いずれはこの足許のかい離も解消すると見られますが、当面の相場見通しの基本的スタンスをどうとるか、その去就が注目されるところです。
そこで、これまでの相場(日経平均)とファンダメンタルズ(基準相場)との実際の相対的な動きを統計的に処理することによって、相場が通常の変動範囲にあるのか、あるいは通常とは言えない異常な状態にあるのかを示す基準を作成しました。
下図は、こうした基準に従って示した通常の変動範囲と異常と言える変動の限界を、日経平均と基準相場と合わせて示したグラフです。
日経平均、基準相場と日経平均の通常変動と変動の限界の推移(日次終値)
―2024年1月4日~2025年8月22日―

日経平均が紺色、基準相場が青色の線、通常の変動範囲は緑線で挟んだ範囲、通常の変動範囲とは言えない、言い換えれば異常な領域に入る限界線を赤線で示しています。
白枠内の値は日経平均と基準相場の値、薄青色の枠内は通常変動の上側と下側の値、薄赤色の枠内は通常ではあり得ない変動上限と下限のそれぞれ8月22日の値です。
変動の上限である赤線を上回る領域を市場では「リスクオン」と呼びます。つまり、投資家はそろって高いリターンを目指してリスクを顧みない状況で、過熱状態にあることを言います。これは逆に見ると相場は反落の可能性が強いことになります。逆に赤線をさらに下回る領域は「リスクオフ」と呼びます。これは市場全体が総弱気に陥りリターンを追及するどころではなく、こぞってリスクを避けるために売りが殺到して相場は下げ過ぎとなる状況を言います。逆に見ると相場は反騰の可能性が強いことになります。
そこで、現在の状況を見ると、8月18日の日経平均の高値は充分リスクオンの領域にあり、その後いくらか下げ気味になっていますが依然リスクオンの範囲にあります。相場はやや高値の追い過ぎ状況で日経平均は目先、変動の上限である4万1,900円程度までの調整があってもおかしくない状況と言えそうです。
さて、上の図はこうした状況をまとめて示すことができますが、やや煩雑で読み取りにくいところが難点です。そこで、こうした相場の行き過ぎか否かの状況を一目で示す指標が「リスク回避指数」です。
当指標は市場リスクの大きさを指数化したもので、値が大きいほど市場のリスクが高い、すなわち投資家がリスク資産である株式を避ける(売る)ことで相場が下がることを意味します。逆に指数が小さいほど市場リスクが低い、つまり投資家が低いリスクの下でより高いリターンを求めて株式を買う、すなわち相場が高くなることになります。
指数は50点を基準に40点から60点の間が通常の変動範囲を示し、30点以下はリスクオンの相場が上げ過ぎの状態、70点以上は相場がリスクオフの下げ過ぎの状態を示します。
下図は「リスク回避指数」の2024年初から2025年8月22日までの推移を示すグラフです。
「リスク回避指数」の推移(日次終値)
―2024年1月4日~2025年8月22日―

中央の黒線はリスクが中立状態の50点を、通常変動の範囲を示す40点と60点の位置は緑線、変動の限界であるリスクオンとリスクオフの境界である30点と70点の位置を赤線で示しています。
日経平均が高値を付けた8月18日の指数は25.58と30点を下回り十分リスクオンの領域にあります。しかし、直近の8月22日には28.31と若干ながら正常の方向に向かって動いており、足元の相場は高値警戒の来迷い状態にあると言えそうです。
株式相場を構成する根っこにある動きを読み解くための各種の「基準相場」と「リスク回避指数」等の指標は、当講座の『相場の実相』
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