ポートフォリオ戦略実践講座:「コロナ・ショック相場を支える企業体力:長期分析で検証」を公開しました。  (2020/10/30公開)

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<応用編・講座>
「ポートフォリオ戦略実践講座」
で新講座を公開しました。

ー コロナ・ショック相場を支える企業体力:長期分析で検証 -

 今回の新型コロナ・ウイルス禍は個人の移動や接触の制限による実体経済への世界的な影響の広がりから戦後最悪級のレベルと見られていますが、一方で、日本の株式相場に対する影響は一時の急落後の早い回復が目立ちます。
 下図は土地を軸とした資産バブル崩壊後の1991年から直近の2020年10月までの過去30年間の日経平均の月末値の推移を示したグラフです(2020年10月は23日終値)

                日経平均の月末値の推移
              ―1991年1月~2020年10月(23日)―

   


 資産バブル崩壊後における大きな下落相場はITバブルの崩壊、リーマン・ショック、英国のEU離脱(BREXIT)、そして今回のコロナ・パンデミックです。
 ここで、それぞれの下落局面における実際の相場とファンダメンタルズとの関係に注目します。いずれ劣らぬ波乱相場ですが、これらが相場形成の基礎的条件であるファンダメンタルズの変動に基づくものであるのか、あるいはそうではない変動、つまり相場形成に構造的な変化が生じているものかを見るためです。

 下図は日経平均とファンダメンタルズに基づく日経平均の水準を表す「理論株価」(*)について、理論株価が連続して得られる最古期である2002年5月から直近の2020年10月(23日)まで月末値の推移を示すグラフです。

*「理論株価」についてはこちらをご覧ください。

                 日経平均と理論株価の月末値の推移
                ―2002年5月~2020年10月(23日)―

   


 青線が日経平均、赤線が理論株価です。日経平均が理論株価と長期かつ大幅にかい離しているのはリーマン・ショックと今回のコロナ・ショックの下落時です(コロナ・ショックによるかい離は現在も継続中です)。
 ただ、底値からの回復の力強さには大きな差があります。リーマン・ショックでは直前の高値に達するまで約6年半かかったのに対して今回のコロナ禍では3月の底値から6月まで約3か月で直前の高値水準に近いところまで回復しています。
 この回復力の違いを解くカギが最も基本的な企業価値と言える純資産(自己資本)の厚さにあると見られます。
 ファンダメンタルズの主要要因である企業の業績はいずれのショック時においても激く下落し、これが理論株価と日経平均の急落の引き金となりました。その後、リーマン・ショックでは(アベノミクスがスタートするまでの)2012年末まで業績の低迷が続き、これが理論株価の低迷の要因です。
 が、実は今回のコロナ・ショックにおいても業績の低迷は現在も続いているのです。
 そこで、両者の回復力の違いは業績ではない要因に求められます。それが日本企業の基礎体力を示す純資産の厚さの差です。着実に内部留保を積み増してきた日本企業の想定外の危機に対する安定性を市場が評価したことが伺われます。
 こうした評価が根付くのか、今後の相場展開が注目されます。
 


*純資産と業績の推移の実際を含めより詳しい解説は本講座をご覧下さい。

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講師:日暮昭
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。2004年~2006年武蔵大学非常勤講師。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を駆使した客観的な投資判断のための分析を得意とする。

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IIS
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