国際投資環境の視点から:「弱者連合のお家騒動―――カルロス・ゴーン逮捕:抄訳」。  (2018/12/18公開)

<『サイト学習コース』>
「投資の地力養成講座」の「国際投資環境の視点から」
での新講座の抄訳です。

ー 弱者連合のお家騒動―――カルロス・ゴーン逮捕:抄訳 -

 カルロス・ゴーンの逮捕は国際問題化している。検察圧倒的優位下の日本的取り調べへの批判、日産支配を巡る日仏両国のせめぎ合い等、議論には国際比較が付きまとう。どこから弾が飛んでくるのかわからない上に、仮にけりがついても、いつ外からどんな形で話がぶり返してこないとも限らない。
 グローバルな視点から日本国内の処理が正当であることを立証し国際的に公開する必要がある。日産は会社としての意思決定に問題がなかったのか、国際的に説明のつく形で、明確にする必要がある。
 ところで、一番興味を持ってこの問題を見ているはずの世界の自動車業界は沈黙を保っている。国内でも、事件直後に「やったね、日産!」と書き込みをしたライバル企業の販売代理店の職員が謝罪させられた以外は何も聞こえてこない。
 内外の同業者の本音は、「長期的にはどこかがへこめば、その隙間を埋めるだけ」だから、だんまりを決め込むのが道理というものかもしれない。
 そもそもルノー日産三菱連合は生産台数では世界1~2の大グループだが、収益力や技術力は存在感が薄い。VWもトヨタもGMもこのグループにそう大きな脅威を感じてこなかったはずだ。脅威を感じるどころか弱者連合とみていた。
 ルノーも日産も政府との関係が深く日仏の産業政策の恩恵に浴す一方、企業家精神という点では強いDNAを持った経営者はゴーン以外にはいなかった。今回のドタバタによってゴーンという経営者がいなくなったらどうなるのか、心配されるのはこうした事情による。

 日産の強みとされる、中国とメキシコ市場について不安が出てきた。中国のモータリゼーションに先立ち、長年の中国自動車産業の恋人だったのはトヨタだった。かつて共産党幹部が乗り回していた「紅旗」はトヨタの高級車がベースになっていた。
 そのトヨタが、中国市場への資本進出を躊躇ったことから中国当局は日産を優遇した。日産は日本メーカーでは中国市場で最大のシェアを誇るにいたった。
 日産はトランプ政権が厳しく目を光らせているメキシコでも強い。メキシコでの日産は、古くから投資を繰り返しNAFTAによって日の目を見た老舗企業である。メインバンクの日本興業銀行の誘いに応じて早い段階からメキシコに進出し、惨憺たる状況を経験した挙句に、NAFTA以降有力投資案件に切り替えることができたのだった。
 ゴーン問題が注視されるこのタイミングにおいて、米中摩擦やNAFTA見直しの渦に巻き込まれる可能性が出てきた。これは日産に限った問題ではないことが日本に不幸であるというべきかもしれない。 
 
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講師:真殿達
国際協力銀行プロジェクトファイナンス部長、審議役等を経て麗澤大学教授。米国のベクテル社、ディロン・リードのコンサルタント、東京電力顧問。国際コンサルティンググループ(株)アイジックを主催。資源開発を中心に海外プロジェクト問題への造詣深い。海外投資、国際政治、カントリーリスク問題に詳しい。

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