理論株価と市場リスクで読む相場の実勢:「株式市場のリスクオン/リスクオフ状況を捉える『市場リスク規準指数』」を公開しました。  (2018/09/24公開)

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『 理論株価と市場リスクで読む相場の実勢』コーナー
「株式市場のリスクオン/リスクオフ状況を捉える『市場リスク規準指数』」を公開しました。

 株式相場は時にファンダメンタルズから大きくかい離する局面が生じます。
 上側にかい離する時は市場がよりリスクを選好する傾向が高まったという事で「リスクオン」、逆に下側にかい離する時は市場が弱気に偏りリスクを回避する傾向が強まったという事で「リスクオフ」と呼びならわされます。
 こうしたかい離之要因として株式市場のリスクの変動が挙げられますが、これは逆に言うとファンダメンタルズという明快な要因で説明できない相場変動をひっくるめて市場リスクの変動に「一括計上」しているようにも見えます。
 当サイトではこの株式市場にとって極めて重要な現象である「リスクオン」と「リスクオフ」の実体を明確に規定することで客観的な相場判断の材料として提供します。
 市場リスクは以下の式で規定します。

市場リスク=―(日経平均―理論株価)/日経平均*100

 ここで、株式相場がファンダメンタルズを“十分に”大きく上回る状況を「リスクオン」、逆に十分に下回る時期を「リスクオフ」とします。“十分”という判定基準を統計学の裏付けを持ち、かつ一般的にもなじみがある「偏差値」で表します。
 偏差値は平均を50点とし、平均から離れるごとに一定の前提のもとに所定の確率が割り当てられる指標です。当サイトではこの指標を「市場リスク規準指数」(以下「指数」)と呼ぶこととします。
 下の表はこの指標によって「リスクオン」、「リスクオフ」の状況を10点単位で示した一覧です。発生確率は統計学の基準に基づいて決まります。

        「市場リスク規準指数」で見る「リスクオン」、「リスクオフ」の状態
日暮201809AAA

 中央の緑色で囲んだ40~60点の枠内が株式相場がファンダメンタルズで説明される範囲、すなわち市場リスクが適正な状態であることを示します。その上と下の10点区切りの範囲は「リスクオン」、あるいは「リスクオフ」の予備的状況と言えます。
 そして、赤色の枠は発生確率が2.5%以下と極めて低く、ファンダメンタルズで説明される範囲を“十分に”外れる事態と言えます。この状況を「リスクオフ」「リスクオン」の状況とします。

         ご参考:「市場リスク規準指数」と「かい離」の推移
              ―2017年9月1日~2018年9月21日―

日暮201809B

 紺色の線が「市場リスク規準指数」(右目盛)、赤線が日経平均と理論株価とのかい離(左目盛)です。また、中央の黒線が平均値の50点、外側の紫線が「リスクオフ」、「リスクオン」の境界を示します。

 この間の「指数」のボトムは1月23日、ピークは3月23日です。1月23日は相場上昇が年明けに一段と加速、過熱が懸念された時期で「指数」は20.9点と完全なリスクオンの状態にありました。3月23日は年初のオーバーシュートからの調整と相まって北朝鮮の核・ミサイルによる挑発に対するトランプ米大統領の強圧的な警告が続き世界的に危機感が高まった時期でした。「指数」は65.5点とリスクオンの状態には至らないもののかなり接近した状況でした。

 足許、市場リスクは傾向的に低下しており、今後、この動きが一服するのか、さらにリスクオンにまで続くのか、注目されます。

 なお、以前にも何回か当講座で「リスクオン」、「リスクオフ」に触れるコメントを提供、公開して参りましたが、以降、「リスクオン」、「リスクオフ」についての講座は当講座での解説を基
本として行ってまいります。
 また、「市場リスク規準指数」はシステムの対応が終了しましたら当サイトの「理論株価で測る相場の位置づけ」コーナーで毎日更新、公開する予定です。ご期待ください。

(*)理論株価、通常変動の上側と下側、その他の相場判断のための指標は当サイトの「理論株価で測る相場の位置づけ」の会員限定版で毎日更新、公開しています。会員登録した当月は会費はかかりません。お気軽にお試しください。

詳しい内容はこちらの本文をご覧下さい。

*ご注意:本講座は会員向けの「理論株価と市場リスクで読む相場の実勢」に収録されます。ご覧になるためには会員登録が必要となりますが、会員登録した当月中は無料で全ての情報、機能をご利用いただけます。お気軽にお試しください。(退会の手続きはトップページの「退会手続き」の窓から行えます)。

講師:日暮昭
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。2004年~2006年武蔵大学非常勤講師。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を駆使した客観的な投資判断のための分析を得意とする。

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