理論株価で相場評価:「日経平均の急騰も業績の急上昇で過熱状態には至らず」  (2017/11/13公開)

============  「理論株価で測る相場の位置づけ」  ==========

            ― 日経平均の急騰も業績の急上昇で過熱状態には至らず ー 


 11月に入り急騰した日経平均は一時2万3,000円を付けた後一服模様となり、今後の動きが注目されます。相場は過熱状態にあり急落の危機に直面しているのか、あるいは妥当な水準の範囲にあるのか、理論株価との関係で見てみましょう。
 下図は日経平均と理論株価、通常変動の上側と変動の上限を今年初めから直近の11月10日まで日次終値ベースで示したグラフです。

    日経平均、理論株価と通常変動の上側、変動上限の推移(日次終値)
                ―2017.1.4~2017.11.10―

株価20171110A

 日経平均は紺色の線、理論株価は青線、通常変動の上側が緑、変動の上限は赤線で示しています。
 日経平均は年初から8月まで通常変動の上側、あるいは理論株価に沿った動きを続け、ファンダメンタルズに裏付けられた相場の範囲と言う意味で穏やかな動きを続けてきたと言えます。

 それが9月に入り北朝鮮のミサイル・核開発に絡む不穏な動きによって市場リスクが高まったことから日経平均は理論株価を下離れ急落しましたが、9月8日に市場リスクが底を打ったのと合わせて上昇に転じました。10月20日には通常変動の上側に追いつき、その後も上昇テンポは変わらず11月からはさらにスピードアップ、11月7日には「変動上限」まで達しました。
 こうした日経平均と理論株価、通常変動の上側の関係、そして、その背景にある市場リスクの動きについては10月29日付けの当講座、「日経平均は高値上限に近づくも業績、市場リスクの好転で通常の警戒領域にとどまる」で、対象期間をやや長めにとり2016年の初めから4つの局面に分けて解説しています。併せてご参照いただければと思います。
 ここでは、その後の急騰局面を含めた解説となります。要点は以下の2つです。

1.ファンダメンタルズの側面
為替市場が落ち着いた動きを続ける一方、業績が中間決算の発表を経て急上昇したことでファンダメンタルズは絶好調とも言える状態。

2.市場リスクの側面
市場リスクは通常の範囲の上側を超える水準から「標準リスク」まで低下しその後もこのレベルで推移しリスクレベルは中立状態を維持。

 下図はファンダメンタルズを構成する日経平均ベースの予想EPSと米ドルレートの推移を示すグラフです。

             予想EPSと米ドルレートの推移(日次終値)
                  ―2017.1.4~2017.11.10―

株価20171110B

 予想EPSが紺色の線、米ドルレートが紫色の線です。米ドルは途中変動はあるものの年初の117円をから直近の113円まで緩やかなドル安傾向を辿り、比較的落ち着いた動きで終始しています。

 一方、予想EPSは年初の136円台から直近の180円台まで30%を超える上昇となっています。9月の終盤から中間決算の発表が本格化するのに合わせて再上昇が始まり特に11月に入ってからは10日間で171円から180円へと6%近い上昇をみせています。
 こうした業績の好調さが株式相場を押し上げた主要因であることは明らかです。

 下図はもう一つの要因である市場リスクの推移を示したグラフです。

                市場リスクの推移(日次終値)
                 ―2017.1.4~2017.11.10―

株価20171110C

 市場リスクは紺色の線、中央の黒線は「標準リスク」、これを挟んで上下にある赤い線は市場リスクの通常の「変動範囲の上側と下側」を示します。
 8月に入り通常範囲の上側を上回ってきた市場リスクは9月8日をピークに低下、10月23日に標準リスクに達した後、標準リスクの近辺で安定的に推移しています。北朝鮮、あるいは欧州、または米国(ロシアゲート?)などに絡んだ突発的な事件がなければ市場リスクは当面落ち着いた動きを見せそうです。

 さて、こうした状況下で日経平均はどのように評価できるでしょうか。
 ひとつは、これまでの経験則に従えば、日経平均は変動の上限を継続的に超えることはない、ということです。過去の例からは変動の上限(あるいは下限)を超えた直後に日経平均は反転しています。すなわち、足元の変動の上限、2万2,976円が当面の壁になりそうです。そして、今後、市場リスクが落ち着いた動きが続くことを前提とすると、過去の経験から通常変動の上側が次の段階になります。すなわち、当面、日経平均の変動のメドは変動上限の2万2,976円と通常変動の上側である2万2,208円の範囲となりそうです。

(*)理論株価、通常変動の上側、変動の上限、その他の相場判断のための指標は当サイトの「理論株価で測る相場の位置づけ」の会員限定版で各指標の説明と併せて実際の数値を毎日更新、公開しています。会員登録した当月は会費はかかりません。お気軽にお試しください
(*)市場リスクおよびその他の指標については8月25日付の当講座、「市場リスクを測る資本コストの求め方と利用の実際:特別編」をご参照ください。

講師プロフィール:日暮  昭

日本経済新聞社においてポートフォリオ分析システム、年金運用評価システム、各種の日経株価指数の開発を担当。2004~2006年武蔵大学非常勤講師。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。

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