理論株価で相場評価:「日経平均は高値上限に近づくも業績、市場リスクの好転で通常の警戒領域にとどまる」  (2017/10/29公開)

============  「理論株価で測る相場の位置づけ」  ==========

           ― 日経平均は高値上限に近づくも業績、市場リスクの好転で通常の警戒領域にとどまる ー 


 10月に入り上げ足を速めた株式相場は22日の衆議院選挙を経て上昇力がさらに高まり日経平均は直近の27日には2万2,000円台に達しました。
この9月末からの1カ月足らずで8%を超える上昇を見せた株式相場は過熱状態にあるのか、あるいはまだ上昇余地があるのか、理論株価と市場リスクの兼ね合いで評価してみましょう。
 下図は2016年初から直近の10月27日までの日経平均と理論株価、および日経平均がファンダメンタルズで説明される範囲であることを示す “通常変動の上側と下側”の動きを月末値ベースで示したグラフです。
 紺色の線が日経平均、青色が理論株価。緑線が通常変動の下側、赤線が通常変動の上側を示します。併せて10月27日の値を記しています。

       日経平均、理論株価と通常変動の上側と下側(月末終値)
          ―2016.1~2017.10(2017年10月は27日終値)-

理論株価20171027A

 図から、この間の相場を理論株価と通常変動の上側と下側との対比で評価すると以下の3つの局面、そして足元の急上昇場面に分けるこが出来ます。

局面1.2016年1月~2016年10月:日経平均は理論株価を一貫して下回り、2月(新興国の経済減速懸念ショック)と6月(BREXITショック)には通常変動の下側も下回る。6月はこの期間中の底値を付ける。
局面2.2016年10月~2017年5月:日経平均は理論株価まで回復した後、そのまま通常変動の上側まで上昇し、以降、通常変動の上側に沿って推移。
局面3.2017年5月~2017年9月:日経平均は通常変動の上側を離れ理論株価に戻り、以降、理論株価に沿って推移。
直近. 2017年9月~2017年10月:日経平均は理論株価を上離れ通常変動の上側を追い越して上昇。

 こうした、日経平均が理論株価(および通常変動の上側と下側)を中心とした変動を説明するのが市場リスクの動きです。下図は上とじ同期間について市場リスクの月次終値と標準リスク、そして通常範囲の上側と下側を示したグラフです。直近の10月27日の市場リスクは標準リスクを下回る6.54%です。市場リスクおよびその他の指標については8月25日付の当講座、「市場リスクを測る資本コストの求め方と利用の実際:特別編」をご参照ください。

                  市場リスクの推移(月末値)
            ―2016.1~2017.10(2017年10月は27日終値)-

理論株価20171027B

 市場リスクは上図と同じく3つの局面と足元の10月の場面に分けて見ることが出ます。

局面1.2016年1月~2016年10月:市場リスクは一貫して標準リスクを上回り2月と6月は特に上昇。6月はこの期間中の最大値を付ける(日経平均は底値)。
局面2.2016年10月~2017年5月:市場リスクはおおむね標準リスクを下回って推移し、最終期に急上昇、2017年5月に一気に通常範囲の上側に達する。
局面3.2017年5月~2017年9月:市場リスクはほぼ通常範囲の上側に沿って推移、最終期に下離れる。
直近. 2017年9月~2017年10月:市場リスクは急速に低下して10月27日には標準リスクを下回る。

 市場リスクと日経平均の関係をまとめると以下の関係があると言えます。
1.市場リスクが「通常範囲の上側」を上回ると相場は不安定な状況となり急落のリスクもある。
2.標準リスクが変動しながらも「標準リスク」の下側であれば日経平均は「通常変動の上側」近辺で推移。
3.市場リスクがそれ自体の水準にかかわらず一定のレベルで安定すると日経平均は理論株価にサヤ寄せされる。
4.市場リスクが急低下すると日経平均は上昇する。

 一方で足元で上期決算の発表に伴って業績はさらに上昇する兆しがうかがえます。
 こうした業績と市場リスクの状況から現在の日経平均の水準は過熱状態にまでは至っていないと言えますが、半面で、ここでは述べていませんが日経平均の「変動の上限」という相場が変転するポイントがあります。現在、この水準は2万2,479円です。
 これらの条件を兼ね合わせると、日経平均の現状は高値の警戒域に踏み込んでおり、今後、業績がさらに上昇を続けるという後押しがない場合はそろそろ慎重な姿勢が必要になると言えそうです。

(*)理論株価、通常変動の上側、その他の相場判断のための指標は当サイトの「理論株価で測る相場の位置づけ」の会員限定版で毎日更新、公開しています。会員登録した当月は会費はかかりません。お気軽にお試しください。

講師プロフィール:日暮  昭

日本経済新聞社においてポートフォリオ分析システム、年金運用評価システム、各種の日経株価指数の開発を担当。2004~2006年武蔵大学非常勤講師。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。

(*)ご注意
投資判断はご自身で行ってくださるようお願いいたします。当講座は投資判断力を強化することを目的とした講座で投資推奨をするものではありません。
当講座を基に行った投資の結果について筆者とインテリジェント・インフォメーション・サービスは責任を負いません。

無断で当講座の転載を禁じます。
(有)インテリジェント・インフォメーション・サービス