理論株価で相場評価:「日経平均は高値警戒の境界に達するも過熱状態には至らず」  (2017/10/18公開)

============  「理論株価で測る相場の位置づけ」  ==========

           ― 日経平均は高値警戒の境界に達するも過熱状態には至らず ー 


 日経平均は10月13日に2万1,155円と21年ぶりに2万1,000円台を回復、その後も上昇し17日には2万1,336円なりました。日経平均は直近の底である9月8日の1万9,274円から1カ月余りで2,000円を超す上昇となりそのスピードに不安定さを見る声もあるようです。果たして足元の相場は過熱状態にあるのか、理論株価に基づいて客観的に相場の現況を評価してみましょう。
 下図は日経平均と理論株価そして過去の実績から割り出した日経平均のノーマルな変動の上側を示す「通常変動の上側」(*)を示したグラフです。併せて理論株価の決定要因であるファンダメンタルズを表す日経平均ベースの予想1株当たり利益(予想EPS )と為替相場(米ドルレート)について示しています。対象期間は今年初の1月4日から直近の10月17日です。

          日経平均、理論株価、通常変動の上側と予想EPS、米ドルレートの推移
                       ―2017.1.4~2017.10.17-

   相場評価20171018A

 紺色の線が日経平均、青線が理論株価、赤線が通常変動の上側を示し、いずれも左目盛です。予想EPSは緑色、米ドルレートは紫色の線で右目盛です。各指標の後の値は10月17日の値を示します。日経平均については反転の節目となった9月8日の値を併せて示しています。
 日経平均は8月に入りそれまで理論株価に沿う形で続いた膠着状態から脱して下離れし、9月8日まで下落した後上昇に転じました。日経平均は9月末に理論株価に追いつき、その後も上昇のペースは衰えず、一気に追い抜いて10月16日に通常変動の上側に達しました。

 日経平均の過熱状況を判断する基準は実は2段階で構成されます。第一段階はここでご紹介したノーマルな変動の範囲を示す通常変動の上側、もう一つの基準 は「変動の上限」です。
 この境界を超えると相場が反転する可能性が高くなることが過去の実績で示されます。詳細については別の機会に譲りますが、ちなみに現在の変動の上限は2万1,965円となります。17日の日経平均からは630円ほど差があり、現在の相場水準は過熱状態ではないと言えます。

(*)通常変動の上側
「通常変動の上側」は日経平均と理論株価との”上方のかい離の平均”から求め、日経平均のファンダメンタルズに基づくノーマルな変動範囲の上限を示します。したがって、この境界を超えると本来の相場変動の範囲から外れるということで反転する可能性が出る領域に入ることになります。

*“市場リスク”について
上述の通り、8月以降の日経平均の動きは理論株価からのかい離(下離れ、底打ち、反転してからの上昇)がキーとなっていますが、かい離は市場リスクの変動と一体の関係にあります。市場リスクという言葉は耳に馴染みやすいため何となく実態がはっきりしないまま納得してしまいがちですが、客観的な評価を行うためには具体的な数値で捉えることが必要です。当講座では市場リスクを“資本コスト”という、投資家が投資によって得ようと期待するリターンを意味する指標で捉えます。詳しくは8月25日付けの講座、「市場リスクを測る資本コストの求め方と利用の実際:特別編」で解説しています。ご興味のある方はをご参照ください。

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講師プロフィール:日暮  昭

日本経済新聞社においてポートフォリオ分析システム、年金運用評価システム、各種の日経株価指数の開発を担当。2004~2006年武蔵大学非常勤講師。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。

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