理論株価で相場評価:「業績好調を受けて相場は強基調/市場リスクとの兼ね合いを測る」  (2017/10/10公開)

============  「理論株価で測る相場の位置づけ」  ==========

          ― 業績好調を受けて相場は強基調/市場リスクとの兼ね合いを測る ー 


 今期の中間決算が発表されるのにつれて業績の好調さがハッキリしてきました。相場の基礎体力は着実に強まっていると言えます。
 下図は日経平均と日経平均のファンダメタルズに基づいた妥当な水準を示す理論株価(*)、そして理論株価の決定要因である日経平均ベースの予想1株当たり利益(予想EPS )と米ドルレートについて、今年初(1月4日)から直近の10月6日までの推移を示したグラフです。

          日経平均、理論株価と予想EPS、米ドルレートの推移
                ―2017.1.4~2017.10.6-

相場評価20171010A


 業績を表す予想EPSは赤線、もう一つのファンダメンタルズ要因である米ドルレートは紫線で示されます。日経平均は紺色の線、理論株価は青線で示します。各指標の枠内の値は年初の1月4日と直近の10月6日の値です。
 予想EPSは年初の136円台が直近の10月6日で169円台になり、業績見通しは24%の大幅増益となっています。一方、米ドルレートは118円弱から113円ちょうどまで約4%の下落となっており、トータルでファンダメンタルズは改善しました。

 こうしたファンダメンタルズの改善を受けて理論株価は年初に1万8,000円台の半ばでスタート、直近の2万560円まで約2,000円上昇しています。一方、日経平均はこの間に1万9,000円台半ばから約2万700円まで1,100円の上昇にとどまっています。
 理論株価と日経平均の上昇幅に900円の差がありますが、これは、年初の時点で日経平均が理論株価を900円ほど上回っていたものが9月半ば以降、日経平均が理論株価にサヤ寄せしたためです。

 そもそも、年初に日経平均が理論株価を大幅に上回った要因は市場リスクの低さで説明されます。この市場リスクが近時に通常の範囲内に収まってきたため、差が解消され、両者が同じレベルに収斂してきたのです。下図は市場リスクの推移を示すグラフです。
 図中の市場リスク(資本コスト)、 “標準リスク”、および通常範囲の上側と下側の内容については8月25日付けの当講座、「市場リスクを測る資本コストの求め方と利用の実際:特別編」をご参照ください。


       市場リスク(資本コスト)の推移と標準リスク、通常範囲の上側
               ―2017.1.4~2017.10.6―

相場評価20171010B


 年初の市場リスクは6.02%と通常の変動範囲を下回っています。その後、市場リスクは上昇に向かい5月半ばから上昇が加速、市場が自然な状態であると認める標準リスクを一気に超えて5月半ばに通常変動の上側に達しました。
 そして、しばらくこの水準を維持した後、8月に入り北朝鮮の核・ミサイルによる挑発が活発化したことによってリスクが急上昇し日経平均は再び理論株価を大きく下回ります。8月24日には昨年11月のトランプ・ショック時を超える高値7.32%を付け、日経平均は急落しています。
 その後、9月半ばまでに北朝鮮の情勢に大きな改善は見えないものの、一種の“危機慣れ”効果が働いて徐々に市場リスクは低下、足元では通常の変動範囲に収まっています。
 さて、こうした市場リスクの動きと相場変動の関係を見るときのポイントは日経平均自体の変動ではなく日経平均と理論株価との差に注目することです。本来、相場の妥当な水準を示す理論株価と日経平均の差をもたらす要因が市場リスクであるためです。
 下図は日経平均と理論株価のかい離(日経平均―理論株価)と市場リスクを合せて示したグラフです。

            日経平均と理論株価のかい離幅と市場リスクの推移
                  ―2017.1.4~2017.10.6-

相場評価20171010CC


 市場リスクと、日経平均と理論株価のかい離がきれいに逆相関の関係になっていることが分かります。上記の、市場リスクが最大となった8月24日にかい離は最大のマイナスとなるなど節目となる局面で逆相関の関係は一層明らかに示されます。
 以上のことから、相場の見方として基本的な水準をまず理論株価で捉え、それをベースにそこからのかい離の程度を市場リスクの大きさで測るという、2段階のアプローチが有効であることが示唆されます。
 こうした見方に立つと、当面の相場の見方としては業績の好調を背景に理論株価は堅調に推移することで基本線は強調として、市場リスクについては北朝鮮の動向を注視しつつ評価することになります。
 今後、北朝鮮の情勢に変化がなく市場リスクが標準リスクに向かって落ち着いて行くとすると、これまでの経験則から日経平均は2万1,000円程度がメドになりそうです。

(*)理論株価についてはこちらをご参照ください。

(*)理論株価、通常変動の上側、その他の相場判断のための指標は当サイトの「理論株価で測る相場の位置づけ」の会員限定版で毎日更新、公開しています。会員登録した当月は会費はかかりません。お気軽にお試しください。

講師プロフィール:日暮  昭

日本経済新聞社においてポートフォリオ分析システム、年金運用評価システム、各種の日経株価指数の開発を担当。2004~2006年武蔵大学非常勤講師。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。

(*)ご注意
投資判断はご自身で行ってくださるようお願いいたします。当講座は投資判断力を強化することを目的とした講座で投資推奨をするものではありません。
当講座を基に行った投資の結果について筆者とインテリジェント・インフォメーション・サービスは責任を負いません。

無断で当講座の転載を禁じます。
(有)インテリジェント・インフォメーション・サービス