理論株価で相場評価:「市場リスクが落ち着けば日経平均は2万円へ回帰:1年間のリスクの推移から検証」  (2017/09/03公開)

============  「理論株価で測る相場の位置づけ」  ==========

      ― 市場リスクが落ち着けば日経平均は2万円へ回帰:1年間のリスクの推移から検証 ー 


 北朝鮮のグアムを射程にするとの発言、また、実際に北海道の上空を通過させるなど、ミサイルによる挑発が続き市場リスクが高まっています。一時は昨年8月以来、1年ぶりの高さを記録しました。
 下図は昨年8月から直近の9月1日まで1年間余の市場リスクと標準リスク、通常範囲の上側と下側(*)の推移を示したグラフです。
(*)詳しくは8月25日付けの当講座をご覧ください。

    市場リスク(資本コスト)の変遷と標準リスク、通常範囲の上側と下側
                  ―2016.8.1~2017.9.1―

相場20170901A

 紺色の線が市場リスク、中央の黒線が標準リスク、赤線が市場リスクの通常範囲の上側と下側を示します。市場が標準的な水準として認める標準リスクは6.58%、通常のリスク変動範囲は6.15%と7.01%の間となります。
 
 昨年は市場リスクは6月のBREXITショックの影響が残る8月まで通常範囲の上側に位置しましたが、以降、11月のトランプ・ショックで跳ね上がった以外は低下が続き12月には通常範囲の下側を下回るまで低下しました。
 その後、今年に入り2月から通常範囲の下側を超えてノーマルなリスクの範囲に戻った後、5月半ばまで通常範囲にとどまっています。以降、8月まで通常範囲の上側に沿って推移してきましたが、8月以降、上記の北朝鮮の相次ぐ挑発を主因に市場リスクは通常範囲を超え、足もとでは昨年来の高い水準で推移しています。
 市場リスクの動向はファンダメンタルズで捉えられる“正当な”相場水準に対する攪乱要因として捉えられます。
 下図は日経平均とファンダメンタルズで捉えられる“正当な相場水準”を表す理論株価とのかい離(日経平均―理論株価)を市場リスクと併せて上図と同期間について示したグラフです。

        日経平均と理論株価のかい離幅と市場リスクの推移
                ―2016.8.1~2017.9.1-

相場20170901B

 紺色の線が市場リスク、赤線がかい離幅を示します。中央の黒線はかい離がゼロ、すなわち日経平均と理論株価が一致することを示します。
 図から、かい離と市場リスクは中央の黒線を挟んで逆相関の形で推移していることが分かります。市場リスクが低下する時はかい離は中央の黒線を上回る、すなわち日経平均が理論株価、ファンダメンタルズを上回って上昇し、市場リスクが高まると日経平均は理論株価を下回ります。足もとの8月以降の動きを見ると、市場リスクの高まりとかい離のマイナスという逆方向の動きが顕著となっています。
 ただし、ここでかい離は日経平均の水準自体と混同しないよう留意することが肝要です。かい離のマイナスが大きくても理論株価の水準が高ければ日経平均は必ずしも大きな下げにつながりません。
 近時は業績の好調による堅調なファンダメンタルズによって理論株価は高い水準を維持しており、かい離は大幅なマイナスとなっていますが日経平均は1万9,700円程度で底堅い水準を維持しています。この先、新しい市場リスクの波乱が生じなければ日経平均は理論株価へ戻ってゆくことが考えられます。ちなみに直近の9月1日の理論株価は2万70円です。

(*)理論株価、通常変動の上側、その他の相場判断のための指標は当サイトの「理論株価で測る相場の位置づけ」の会員限定版で毎日更新、公開しています。会員登録した当月は会費はかかりません。お気軽にお試しください。

講師プロフィール:日暮  昭

日本経済新聞社においてポートフォリオ分析システム、年金運用評価システム、各種の日経株価指数の開発を担当。2004~2006年武蔵大学非常勤講師。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。

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