理論株価で相場評価:「株式相場の膠着はファンダメンタルズに見合う自然な位置:カギは市場リスクの変化」  (2017/07/28公開)

============  「理論株価で測る相場の位置づけ」  ==========

     ― 株式相場の膠着はファンダメンタルズに見合う自然な位置:カギは市場リスクの変化 ー 


 日経平均は6月以降、2万円をはさんだ小動きが続き株式相場は膠着状態を呈しています。
 今回はこの膠着状況の背景を理論株価と市場リスクの両面から読むことで近時の相場の特徴を見てみましょう。
 下図は5月1日から直近の7月27日までの日経平均と理論株価、および通常変動の上側の推移を示したグラフです。紺色が日経平均、青色が理論株価、赤色が通常変動の上側を示します。各指標の後の値は7月27日の値です。

           日経平均、理論株価と通常変動の上側
               ―2017.5.1~2017.7.27-

相場20170727A

 日経平均は昨年、トランプ・ショック後の急騰で理論株価から通常変動の上側にシフトアップした後、この通常変動の上側に沿った動きを続けてきましたが、今年5月に今期の業績予想が折り込まれることで通常変動の上側が上昇する過程で腰折れ、6月から理論株価に里帰りし、以降、理論株価と一体の動きを続けています。
 この日経平均2万円前後の位置は理論株価、すなわちファンダメンタルズに見合う水準にあるということで無理のない自然な位置、文句の言えない水準とも言えます。
 ただ、足元で相場が自然な位置にあるからといって安心していればよい、ということにはなりません。ここで、5月半ばに日経平均が通常変動の上側から理論株価へ向かって下離れした背景に市場リスクの高騰があることに注目します。
 下図は市場リスクを表す“日経平均会社”の「資本コスト」(*)の推移を上図と同時期について示したグラフです。図中の緑の縦線は上図でも示しましたが5月9日と6月1日の位置です。5月9日は米国トランプ大統領がコミーFRB長官を解任した日、6月1日は日経平均が理論株価の水準に一致した日です。

     市場リスク(資本コスト)の推移と標準リスク、通常リスクの上側と下側
                  ―2017.5.1~2017.7.27―

相場20170727B

 市場リスクは5月9日を機に急上昇し、それに合わせて日経平均が通常変動の上側から袂を分かって離れて行ったことが分かります。市場リスクは一時、通常リスクの上側を超えるまで上昇し6月に入ったところで通常リスクの上側の近辺で落ち着きました。以降この水準で推移しています。一方、この市場リスクの落ち着きと軌を一にして日経平均は理論株価と一体の動きに移っています。
 以上から近時の市場が注目する株式市場のリスク要因としてはトランプ大統領のロシアゲートが有力と言えそうです。現在、先行きは依然不透明であり、リスクは高止まり状態が続いています。
 半面、ファンダメンタルズは好調な業績を背景に堅調さを維持しています。市場は安定したファンダメンタルズと米国発(無論、北朝鮮の挑発など他の様々な要因もありますが)のリスクの動向を両にらみで構える局面が続きそうです。

(*)“日経平均会社“の「資本コスト」
「資本コスト」は投資家がリスク負担に対する報酬として要求するリターンを意味します。リスクが高ければそれに見合うリターン、すなわち資本コストも高くなることからリスクの大きさを表す指標として使われます。市場を表す日経平均の資本コストはすなわち市場全体のリスクを表すことになります。詳しい内容は別の機会でご案内する予定です。

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講師プロフィール:日暮  昭

日本経済新聞社においてポートフォリオ分析システム、年金運用評価システム、各種の日経株価指数の開発を担当。2004~2006年武蔵大学非常勤講師。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。

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