理論株価で相場評価:「市場リスク安定で理論株価と一体性強める日経平均、為替の動向に注目」  (2017/07/12公開)

============  「理論株価で測る相場の位置づけ」  ==========

           ― 市場リスク安定で理論株価と一体性強める日経平均、為替の動向に注目 ー 


 下図は当講座でおなじみとなりました、日経平均(紺色の線)、理論株価(青線)、通常変動の上側(赤線)と、理論株価の決定要因である予想EPS(緑線)と米ドルレート(紫線)の動きを今年初から直近の7月11日まで示したグラフです。

   日経平均、理論株価、通常変動の上側と予想EPS、米ドルレートの推移
                ―2017.1.4~2017.7.11-

相場20170712A

 日経平均は5月半ば以降、理論株価との一体感を強めています。7月11日は理論株価の2万115円に対して日経平均は2万195円と差は80円まで縮まっています。
 これは、今期業績予想が反映される5月以降予想EPSがジャンプアップし、その後安定的に推移する一方で為替市場も米ドルレートが5月以降、110円から115円の範囲で落ち着いた動きを続けていることで、株式相場はファンダメンタルズに見合う本来の位置で居心地の良い状況になっていると言えます。
 こうした株式相場とファンダメンタルズの安定的な関係を支えているのが市場リスクの安定です。市場リスクの大きさは投資家が投資リスクの負担に見合う分として要求する報酬である「資本コスト」で代替的に表すことが出来ることをご紹介してきました。下図は市場リスクとしての「資本コスト」を上図と同じ今年初から7月11日まで示したグラフです。

   市場リスク(資本コスト)の推移と標準リスク、通常リスクの上側と下側
                 ―2017.1.4~2017.7.11―

相場20170712B

 図の中央にある黒線は市場が妥当なリスク水準として受け入れる「標準リスク」の位置を示します。これはリーマン・ショックによる市場の混乱がほぼ収まり市場指標が正常の姿に戻った2010年5月から直近の2017年6月までの資本コストの月次終値の平均値です。投資家はリスク負担に見合うリターンとして過去に要求したリターンの実績平均を標準的なリターン、すなわち標準リスクとして受け入れることを示します。
 標準リスクの上側と下側にある赤線は標準リスクを中心に資本リスクの平均的な変動幅を上下にとった位置を示します。この赤線で挟まれる範囲であれば市場リスクは通常の変動の範囲に収まるメドを示します。
 図から、2017年の市場リスクは年初から5月にかけて通常変動の下側から標準リスクまで戻り、そこから通常変動の上側まで急上昇、直近まで安定軌道に入り近時は通常変動の上側近辺で推移しています。市場リスクはそれなりに安定していると言えます。
 こうした市場リスクの安定と日経平均が理論株価への一体性を強めている市場構造が続くとすれば、今後の株式相場の先行きは、一般に業績が大きく急変する可能性は少ないので為替の動きがカギを握ると言えそうです。ちなみに米ドルレートが理論株価に与える影響度(係数)は103です。具体的な影響の程度については次回以降のテーマとします。


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講師プロフィール:日暮  昭

日本経済新聞社においてポートフォリオ分析システム、年金運用評価システム、各種の日経株価指数の開発を担当。2004~2006年武蔵大学非常勤講師。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。

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