理論株価で相場評価:「市場リスクは高値の境界で高止まりするもファンダメンタルズの支えで粘り腰で推移」  (2017/06/12公開)

============  「理論株価で測る相場の位置づけ」  ==========

       ― 市場リスクは高値の境界で高止まりするもファンダメンタルズの支えで粘り腰で推移 ー 


 先週は6月8日のコミー前FRB長官の議会証言、英国総選挙、そして10日にはフランスの下院選挙など海外で大きな政治イベントが続きました。これらの政治イベントの結果が相場にどのように波及するか予測は困難ですが、市場はとりあえず不確実性の高まりに警戒を強め市場リスクは高まっています。
 下図は2016年初から直近の2017年6月9日までの市場リスクの推移を示すグラフです。市場リスクは前回の当コラムでご案内しました資本コストで示します。

   市場リスク(内部資本コスト)の推移と標準リスク、平均変動の上側と下側
                 ―2016.1.4~2017.6.9-

相場評価20170609A


 紺色の線が市場リスクの推移を示します。中央の黒色の横線は標準的なリスク水準を示します。これは過去の市場リスクの平均(リスクの評価がリーマン・ショックの混乱から正常状態に戻った2010年5月から2017年6月までの月次終値の平均値)で、過去の平均的なリスク水準であれば市場が標準レベルとして受け入れられる、としたものです。
 この黒線を挟んで上下にある赤線は市場リスクの変動の平均値、すなわちこの範囲にあれば市場リスクは通常の変動の範囲にあり、一応落ち着いた水準にあることを示します。変動の平均は2016年初から直近の2017年6月9日までの日次ベースの平均値をとっています。標準リスクは6.58%、平均変動の上側は7.03%、下側は6.13%です。

 2016年の市場リスクの動きを見ると、1,2月の新興国経済の減速懸念ショック、6月のBREXIT、11月のトランプ・ショック時と、市場の波乱時にリスクはいずれも平均変動の範囲を大きく超えており、過大なリスクを負ったことが分かります。
 足元では市場リスクは5月半ばから急速に高まり平均変動の上側に達した後、この水準で一進一退を続けています。直近の6月9日は7.05%で、平均変動の上側を若干上回っています。

 さて、リスクの水準はこのように平均変動を超えるギリギリの水準で高止まりしていますが、相場の腰は堅調なファンダメンタルズに支えられて粘り強そうです。
 下図は2017年初から直近の6月9日までの日経平均、理論株価、通常変動の上側と日経平均ベースの予想EPS、米ドルレートの推移を示したグラフです。

    日経平均、理論株価、通常変動の上側と米ドルレート、予想EPSの推移
                 ―2017.1.4~2017.6.9ー

相場評価20170609BB

 紺色の線が日経平均、青線が理論株価、赤線が通常変動の上側で、ファンダメンタルズを示す予想EPSが緑線、米ドルレートが紫色の線です。各指標の後の値は6月9日の値を示します。
 米ドルレートは弱含みで推移していますが今期の業績予想(予想EPS)は前年比20%増程度の高水準で安定していることからファンダメンタルズは堅調と言えます。
 昨年の波乱時のようにリスクが極端な上昇を見せる場合は別として、リスクの変動に対して相場は下落に対する抵抗力があると言えます。リスクが現状程度で推移すれば日経平均は理論株価の1万9,800円近辺がメドとなり、リスクが標準リスクまで低まれば通常変動の上側である2万900円超えが視野に入りそうです。

(*)理論株価、通常変動の上側、その他の相場判断のための指標は当サイトの「理論株価で測る相場の位置づけ」の会員限定版で毎日更新、公開しています。会員登録した当月は会費はかかりません。お気軽にお試しください。

講師プロフィール:日暮  昭

日本経済新聞社においてポートフォリオ分析システム、年金運用評価システム、各種の日経株価指数の開発を担当。2004~2006年武蔵大学非常勤講師。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。

(*)ご注意
投資判断はご自身で行ってくださるようお願いいたします。当講座は投資判断力を強化することを目的とした講座で投資推奨をするものではありません。
当講座を基に行った投資の結果について筆者とインテリジェント・インフォメーション・サービスは責任を負いません。

無断で当講座の転載を禁じます。
(有)インテリジェント・インフォメーション・サービス