理論株価で相場評価:「日経平均2万円はファンダメンタルズの範囲内―過熱には至らず」  (2017/06/04公開)

============  「理論株価で測る相場の位置づけ」  ==========

           ― 日経平均2万円はファンダメンタルズの範囲内―過熱には至らず ー 


 日経平均は6月2日にそれまで何回か2万円直前まで迫りながら足踏みを続けてきたうっぷんを晴らすように一気に2万円のカベを超えました。ただし、当講座の基本スタンスであるファンダメンタルズの視点からは日経平均の2万円は通常の変動範囲内に収まります。過熱状態には至ってないと言えます。
 下図は2017年初から直近の6月2日までの日経平均、理論株価、通常変動の上側と理論株価のベースとなる日経平均ベースの予想EPS、米ドルレートの推移を示したグラフです。

    日経平均、理論株価、通常変動の上側と米ドルレート、予想EPSの推移
                 ―2017.1.4~2017.6.2

相場評価20170604A

 紺色の線が日経平均、青線が理論株価、赤線が通常変動の上側(左目盛)です。そしてファンダメンタルズを示す予想EPSが緑線、米ドルレートが紫色の線(右目盛)で示します。各指標の後の値は6月2日の値です。
 米ドルレートが111円近辺で落ち着いた動きを続ける一方で予想EPSが5月に急上昇し163円台で安定、過去最高水準を確保することがほぼ確実になりました。株式相場はこうした良好なファンダメンタルズに土台を支えられる形で安定した状態にあると言えます。不確定要因は市場リスクの動向です。
 市場リスクの大きさはこれまでに当講座でご案内した「資本コスト(*)」で表すことができます。下図はこの資本コストの推移を上図と同期間について示したグラフです。

   市場リスク(内部資本コスト)の推移と標準リスク、平均変動の上側と下側
                 ―2017.1.4~2017.6.2-

相場評価20170604BB

 紺色の線が市場リスクの推移を示します。中央の黒線は市場が平常時のリスク水準として受け入れる「標準リスク」、 そしてこの黒線を挟んで上下にある赤線はリスクの通常の変動範囲の境界、当面のリスクの上限と下限のメドを示します。各指標の後の値は6月2日の値です。
 市場リスクは5月11日のトランプ大統領によるコミーFBI長官の突然の解任を機に標準リスクを超えて急上昇し当面のリスクの上限を超えるまで高まりました。この水準が約2週間続きましたがその後新たに大きな不安要因の出現がなかったことで市場はそれなりにリスクを消化した形で6月2日に当面の上限を下回り通常の変動範囲に戻りました。
 この市場リスクの水準であれば日経平均はファンダメンタルズを素直に反映します。リスクの低下が日経平均2万円達成を推進したと言えます。
 今後の見通しについては、業績はほぼ現在の水準で固まったと見られますので、市場リスクの動向がカギを握ると言えます。市場リスクが標準リスクまで低下すれば日経平均は2万円台をキープしさらに当面の下限まで低下していけば2万900円を目指すことになりそうです。

(*)資本コスト:株式投資によって株主が負担するリスクに見合う報酬として株主が要求するリターン。リスクが高くなればそれに見合う要求リターン、すなわち資本コストも高くなるため、リスクの大きさを資本コストの大きさで捉えることができる。資本コストの実際の数値は株式価値を表す所定のモデルに基づいて算出。モデルについては別途解説する予定です。

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講師プロフィール:日暮  昭

日本経済新聞社においてポートフォリオ分析システム、年金運用評価システム、各種の日経株価指数の開発を担当。2004~2006年武蔵大学非常勤講師。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。

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