理論株価で相場評価:「相場の主導権はファンダメンタルズからリスク評価へ」  (2017/04/26公開)

============  「理論株価で測る相場の位置づけ」  ==========

            ― 相場の主導権はファンダメンタルズからリスク評価へ ー 

 業績などのファンダメンタルズに大きな動きがない中、近時の株式相場の荒っぽい動きが目立ちます。
 下図は2017年1月初めから直近の4月25日までの日経平均と通常変動の上側、そしてファンダメンタルズを表す日経平均ベースの予想EPSと米ドルレートの日次ベースの推移を示すグラフです。

       日経平均、通常変動の上側と予想EPS,米ドルレートの推移
                 ―2017.1.4~2017.4.25-

PPT20170424A

 各指標名の後の値は直近の4月25日の終値を示します。
 それまで通常変動の上側と一体の動きを続けてきた日経平均が4月に入って下離れしましたが、4月14日を底に上昇に転じ25日には1万9,000円台に達して通常変動の上側を再び上回るまで回復しました。
 こうした、ファンダメンタルズに変化がない中での日経平均の荒い値動きは市場リスクの評価の変化によるものと考えられます。このリスクの不安定さは北朝鮮の挑発とそれに対するトランプ米大統領の強硬な姿勢、またフランスの大統領選挙の行方がもたらしたとみることができます。
 今回はこうした市場リスクの不安定性が株式相場に具体的にどの程度の影響を与えるのかを見てみます。

 ここで、市場リスクは”資本コスト”という指標で捉えることができます。
 資本コストとは株主が株式投資によって負担するリスクに対する当然の報酬として要求するリターンのことです。リスクが高くなればそれに見合って要求するリターンも高くなりますので資本コストはリスクの大きさを表す指標となるのです。
 資本コストの考え方と具体的な求め方の説明はやや煩雑になりますのでここでは結論だけを示します(*)

 下図は上図と同じ期間についての資本コスト(市場リスク)の推移と過去の資本リスクの平均で市場がノーマルな水準として受け入れる「標準リスク」、そして当面のリスクの下限(*)を示したグラフです。

        市場リスク(資本コスト)の推移と標準リスク、平均変動の下側
                 ―2017.1.4~2017.4.25-

PPT20170424B

 それまで一時期を除いて標準リスクの下側で安定的に推移していた市場リスクは4月に入り急上昇し4月6日には標準リスクに達しその直後に下落に転ずるなど荒い動きを示します。これは日経平均がファンダメンタルズで示される通常変動の上側から離れ荒い変動を始めた時期と一致します。
 先の図とこの図を合わせて見ると相場の主導権がファンダメンタルズから市場リスクの評価に移ったことを示します。これは、同時に現在の相場のもろさに直結します。ファンダメンタルズの裏付けがない状況で市場のセンチメントの如何にも左右されるリスクの評価が変われば相場は急変動する可能性を抱えるからです。

 いま、リスクの変動範囲として当面の上限と考えられる「標準リスク」と変動の下限までを考えます。
 それぞれのリスク水準に相当する日経平均(*)を求めると結果は以下の通りです。

市場リスクが標準リスク(6.57%)まで高まる場合:日経平均=1万8,241円。
市場リスクが当面の下限(6.11%)まで低まる場合:日経平均=1万9,614円。

 現下の相場は日経平均で1万8,200円から1万9,600円の間で振れる可能性がある不安定な状況にあると言えそうです。

(*)ここでの資本コスト、標準リスク、変動の下限の考え方はサイト版の「資産運用のブティック街」の該当講座 (「株式相場の迷走を市場リスクで読み解く」)で解説しています。ご興味のある方はこちらをご参照ください。当講座は会員限りとなっていますので会員登録が必要となりますが登録後月内に退会すれば会費はかかりません。出来るだけ月の初めにお試しいただくことをお勧めします。

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講師プロフィール:日暮  昭

日本経済新聞社においてポートフォリオ分析システム、年金運用評価システム、各種の日経株価指数の開発を担当。2004~2006年武蔵大学非常勤講師。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。

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