理論株価で相場評価:「日経平均の急上昇は理論株価が裏付け、過熱感は薄い」  (2016/11/20公開)

============  「理論株価で測る相場の位置づけ」  ==========

               ― 日経平均の急上昇は理論株価が裏付け、過熱感は薄い ー 


 株式相場は米国大統領選挙でトランプ候補の勝利が確定した直後に急落した後、翌日に急回復しその後もハイペースで上昇を続けています。
 下図は理論株価が実質的に新年度入りした6月から直近の11月18日まで、日経平均と理論株価、そして通常変動の上側と下側を示したグラフです。紺色の線が日経平均、青線が理論株価、赤線が通常変動の上側と下側を示します。紫色の縦線は英国のEU離脱で急落した6月24日と今回の11月9日の急落の位置を示します。

          日経平均、理論株価と通常変動の上側、下側
                -2016.6.1~2016.11.18-

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 日経平均は11月9日の急落で1万6,251円を付けた後、直近の18日には1万7.967円と1週間余りで1,716円、10.5%上昇しました。
 この規模に見合う変動は6月の英国のEU離脱ショック前後の変動に見られます。しかし、その裏にある相場の実態は大きく異なります。図に見られるように当時の日経平均は通常変動の下側も割り込み、ファンダメンタルズでは説明できない水準にあり、そこからさらに底割れするのか、あるいは理論株価に回帰、回復していくのか、不安定な状況にありました(結果は従来と同様、理論株価に戻る道を辿りました)。
 一方、今回の急落とその後の急速な上昇はいずれも理論株価に沿った動きとなっており、業績と為替で規定される無理のない相場水準の動きと言えます。
 下図はこうした日経平均と理論株価の関係を明快に捉えるグラフで、上図と同じ6月から11月18日までの日経平均と理論株価の“かい離率”の推移を示しています。

             日経平均と理論株価のかい離率の推移
                  ―2016.1.1~2016.11.18-

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  紺色の折れ線がかい離率の推移、中央の緑色の線がかい離率の平均を表します。かい離率は基本的にこの平均の位置を中心に変動しており、ここから一定程度離れると平均に回帰する傾向があります。この一定の程度を表すのが通常変動の範囲で、上側と下側を赤線で示しています。紫色の縦線は上図と同様、6月24日と11月9日の位置を示します。

 図から、11月9日の下落は赤線の通常変動の内側に収まっており6月の落ち込みはここには記していませんが通常変動の2倍に当たる、反転の限界を示す“変動の下限”にまで接近しており、”異常な下げ”と言えます。
 かい離率はその後7月半ばから通常変動の範囲内に戻り、8月半ばからは平均値の近辺で推移しており、理論株価と歩調を合わせていることが分かります。今回の急落は赤線の範囲に収まっており通常変動の一環として捉えられます。
 これは日経平均が理論株価の動きを忠実に追っていることの裏返しであるわけですが、逆に言うと、理論株価が下落すれば日経平均も下落するということです。
 理論株価を引き上げた主因は、次期米大統領による積極財政策に対する期待などによる金利上昇を受けた米ドルの上昇(円の下落)です。こうした期待が実現せず為替がドル安・円高の流れに戻れば理論株価の上昇過程は逆回転し下落ます。それにつられる形で日経平均も下落することになります。
 ただ、現状は業績(今期の予想1株当たり利益)が安定していることで、米ドルが足もとの110円程度で推移するならば現在の相場は妥当な水準として過熱感は薄いと言えます。



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当コラムの基である「理論株価で測る相場の位置づけ」は以下のグラフと数表で構成され、日次ベースで更新、会員向けに公開しております。

グラフ1:「日経平均と理論株価の推移」
 出力期間:2015年1月5日~直近日
 日経平均と理論株価の推移を示す最も基本となるグラフです。

グラフ2:「かい離率の推移と変動範囲の上限・下限」
 出力期間:2015年1月5日~直近日)
 日経平均と理論株価のかい離の推移を時系列で示します。相場反転の直接の判断材料となります。

グラフ3:「日経平均と変動範囲の上限・下限」
 出力期間:2015年1月5日~直近日
 上記のかい離率を日経平均と同じ水準に引き直したグラフで相場反転の株価の位置を日経平均との比較で直接捉えることが出来ます。

グラフ4:「日経平均と変動範囲の上限・下限―-拡大グラフ」
 出力期間:2016年1月6日~直近日
 上のグラフの出力期間を期近まで絞ることでグラフを拡大、より詳細に反転のタイミングを捉えることができます。

数表  :「直近5日間の日経平均と変動の範囲・かい離率」
 出力期間:直近5営業日
 日経平均と通常の変動範囲、および反転のメドとなる変動の限界を直近の5営業日について数値で示します。

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講師プロフィール:日暮  昭

日本経済新聞社においてポートフォリオ分析システム、年金運用評価システム、各種の日経株価指数の開発を担当。2004~2006年武蔵大学非常勤講師。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。

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